一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-2-05] 視覚障害者にも判り易い医療機関Webページの標準仕様要件

*田中 武志1 (1. 広島大学 病院 医療情報部)

Web Accessibility, Visually-Impaired Person, Hospital Webpage


[はじめに]2007年の日本眼科医会の調査によれば我が国には160万人以上の視覚障害者が存在する。医療機関のWebページ、特に公共性の高い基幹病院や規模の大きい病院のWebページは行動に制限のある視覚障害者にとって重要な情報源である。Webアクセシビリティの基本はコンテンツの意味に沿って正しくHTMLをコーディングし、それぞれの障害に合わせた最適な形で情報を提示可能にすることである。総務省は公共機関のWebページがWebアクセシビリティのガイドライン(JIS X 8341-3)(以下、JIS)のレベルAAを満たすよう要請している。しかしながらJISのレベルAAは文字情報が認識できる程度のものであり、閲覧者が受け取る情報が判り易いことを保証するものではない。JISの達成状況も含めて現状の医療機関のWebページは判り易いとは言い難い。[方法]多くの医療機関がWebページ制作を外注していることから、医療機関コンテンツの特性を考慮した医療機関Webページ標準仕様要件があれば、この状況の改善できると考える。JISのレベルAAの範囲ですべきことを必須項目、それ以上(レベルAAA)のことを推奨項目とし、これまでの著者の調査結果から要件を整理する。必須要件については、要件の書き方とJISのチェックツールを用いてJISに詳しくない病院職員でも確認できる検収の基準と方法、推奨項目については医療機関Webページの特性を踏まえてHTMLのタグやメタ情報の付け方を示す。[結果]必須要件については「JISのレベルAAに一部準拠」としJISツールの各項目で80点以上になることを検収の要件とする。推奨項目として、画像の内容を適切に説明するコメント、適切な見出しの設置、そしてHTML5を使う場合はセマンティックモデルに基づいた設計、(文字を大きく表示しやすい)スマートフォン対応を挙げる。