Japan Association for Medical Informatics

[3-F-3-04] くも膜下出血患者の疾患特異的アウトカム評価と医療技術評価基盤開発に向けた大規模データベースへのPatients-reported outcome情報付与の試み

*Misa Takegami1, Takafumi Shimogawa2, Kota Funakoshi3, Shinichi Kijima4, Koichi Arimura2, Ataru Nishimura2, Masahiro Kamouchi5, Kunihiro Nishimura1, Naoki Nakashima6, Koji Iihara7 (1. 国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部, 2. 九州大学大学院医学研究院脳神経外科, 3. 九州大学病院ARO次世代医療センター, 4. 九州大学大学院医学研究院循環器内科学, 5. 九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座, 6. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター, 7. 国立循環器病研究センター)

Electronic patient-reported outcome, Subarachnoid hemorrhage, Health technology assessment, Quality of life


【背景/目的】くも膜下出血に特化した国際比較可能な疾患特異的なアウトカム指標はなく、既存のくも膜下出血大規模データベースには患者報告アウトカム(Patient-Reported Outcome, PRO)情報は付与されていない。そこで、英国で開発されたくも膜下出血疾患特異的尺度の日本語版(SAHOT-J)を開発し、近年注目されている電子的PRO (Electronic PRO, ePRO)を構築、導入したので、その経験を報告する。

【方法/結果】ePROの構築にはViedocTMのePROモジュールであるViedocMe用いた。ePROは、回答の選択箇所を大きくし、入力しやすいインターフェイスとした。ePROには、SAHOT-J、EuroQol 5 Dimension、SF-36 Health Survey、自己報告式 modified Rankin Scaleを含めた。くも膜下出血の発症後は、一定の割合で本人が回答できない患者が存在することから、介助者用のツールも開発した。
 各研究協力施設の研究者がEDC (Electronical data capture)上で、患者および介助者のID・パスワードを発番し、患者はQRコードを用いてタブレットからePRO画面にアクセスするようにした。PRO収集のタイミングは外来受診時とし、外来にて入力のサポートを行った。
 開発したEDC/ePROを用いて、現在数例の患者で研究を開始しており、おおむね問題なく操作できている。

【結論】くも膜下出血のアウトカム評価に特化したEDC/ePROを構築した。ePROは、デバイス入力への心理的抵抗がある高齢者においても使用可能であった。本ツールによりくも膜下出血のQOL情報が既存の大規模データベースに付与されれば、くも膜下出血の診療および治療評価としてQOLをアウトカムした分析や医療技術評価が可能となることが期待される。