一般社団法人 日本医療情報学会

[3-G-1-03] クリニカルパスの国際動向 ―クリニカルパスの本質に立ち返る−

*青木 美和1,2、岡田 美保子1、山下 貴範3、大江 和彦2、中島 直樹3 (1. 一般社団法人 医療データ活用基盤整備機構, 2. 東京大学大学院 医学系研究科 医療情報学分野, 3. 九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター)

Clinical Pathways, Critical Pathways, Literature Review


背景:近年,リアルワールドデータの活用に注目が集まっており,診療プロセスに関するデータをどう取得できるかが課題となっている.診療プロセスを表現する手段としてクリニカルパス(以下,パス)があり,パスは国内外に広く普及している.しかし,パスマスタの国内標準は達成されているがパスデータの標準化がなされていないことから,AMED研究開発事業としてパスデータ標準化が取り組まれている.今後,パスデータの国際的標準化がなされることが求められるが,海外においてはパスがいかなる目的に活用され,どう発展しているか明らかではない.そこで本研究では,海外におけるパスの動向を調査したので報告する.方法:文献検索にはPubMedを用いた.対象期間は直近5年,検索範囲はタイトル/アブストラクトとし,キーワードは,”Clinical Pathways”, “Critical Pathways”, “Care Pathways”としOR検索を行った.また,国際的な医療標準化団体,パスの運営を行っている団体等のサイトを調査対象とした.結果:検索の結果,PubMedでは2,195件がヒットした.論文数は年々増加しており,2019年は579本が出版された.そのうち,臨床意思決定支援関連は14件,慢性疾患管理関連は316件,がん診断治療関連は199件であった.また,英国では国立医療技術評価機構(NICE)が主導して多様な範囲に渡り臨床ガイドラインに基づいたNICE pathwaysを広く公開していた.考察:パスは,臨床意思決定支援,慢性疾患管理や診断治療プロセスを包括的・遷移的なツリー構造として明示したものや患者教育も視野に入れたものがみられた.本研究の結果は,国内のパスの文献と比較することで国内におけるパスの在り方の議論をし,さらにパスデータの国際的標準化の推進に資すると考える.