Japan Association for Medical Informatics

[3-G-1-06] レセプト電算用マスターとMEDIS標準病名マスターにおける指定難病病名の収載状況について

*Saho Kanno1, Shinichiro Kubo1, Yuichi Nishioka1, Tatsuya Noda1, Tomoaki Imamura1 (1. 奈良県立医科大学公衆衛生学講座)

standardization, master, disease name


【目的】

保険診療において、病名登録は診療経過の記録であると同時に診療の根拠となるものである。傷病名にはICD-10、指定難病の告示病名、告知指定難病以外の疾病名(以下、告知以外難病名)、厚生労働省が提供する医療保険請求に係る傷病名マスターと医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)発行の標準病名マスターが存在する。先行研究にて各種マスター間で病名に差異があることが明らかになった。そこで、指定難病を中心に再調査した。

【方法】

2020年5月時点で最新の指定難病一覧を厚生労働省ホームページより、告知以外難病名を難病情報センターより入手。標準病名マスターは「標準病名マスター作業班」サイトより最新の病名を検索し、収載状況を把握。また、その対応表を作成し先行研究のものと比較した。

【結果】

2020年5月時点で告示指定難病名は333件、告示以外難病名は1259件であった。各種マスターについて、標準病名マスターや傷病名マスターに告示指定難病名や告示以外難病名が未登録のものがあった。病名について、指定難病及び告示以外難病名と各種マスター間で、病名が一致しないものや大文字小文字違いが198例あった。例えば、「糖原病Ⅳ型」の互換病名である「アンダースン病」は各マスターにおいては「アンダーソン病」、「ハッチンソン・ギルフォード症候群」は「早老症」と表記されていた。その他、病名が牽引テーブルに登録されているもの、同一病名が複数告示指定難病名に登録されているもの等が存在した。

【結論】

告示指定難病や告示以外難病名の追加や削除、標準病名マスターの追加など一部変化があり収載状況の整理が出来た。索引テーブルに新たに病名が追加されおり、同義語での検索可能範囲が増えた。一方で、告示指定難病名が未登録の病名、マスター間で病名の差異があり、保険診療においてこれら統一が必要であると考えられる。