Japan Association for Medical Informatics

[3-G-2-04] 調剤の最終鑑査での医薬品バーコード照合に対する印字バーコード特性と処方量の影響

*Hiroyasu Sato1, Rino Arai1, Yuki Ebina1, Hirotaka Sanbonmatsu1, Hiroshi Tamura1 (1. JA北海道厚生連 帯広厚生病院)

GS1 Data Bar, Barcode, Dispensing Audit


【背景】帯広厚生病院では、調剤の最終鑑査において取り揃えた医薬品と薬袋とのバーコード照合を実施している。調剤薬の多くを占める錠剤およびカプセル剤のPTPシート包装等は、医薬品により1シートにおけるGS1データバーの印字個数は様々であり、処方量によっては読み取り可能なバーコードが1つも存在しないケースもある。今回、照合ログを用いて読み取り率に関する医薬品に関する解析を行った。
【方法】3か月分の最終鑑査照合ログを用いて、医薬品別または処方量別に医薬品GS1コードの読み取りが不能でダミーコードが用いられた割合(ダミー率)および照合に要した時間(照合秒数)を収集した。医薬品と処方量の組み合わせごとに、ダミー率および照合秒数の平均をそれぞれ求めた。
【結果】363医薬品、81,273件のバーコード照合が解析対象となった。このうち4,348件(5.3%)の照合には、ダミーコードが用いられていた。処方量別のダミー率は、処方量が10錠以下である場合、処方量の減少に伴い増加した。一方、1錠に1つのGS1データバーが印字されている医薬品においては、1錠から10錠のいずれの処方量においてもダミー率はほぼ0%であった。また、100錠、200錠という端数のない処方量において、ダミー率の上昇が確認された。処方量別の照合秒数は、処方量が増加するに伴い増加がみられた。特に処方量が100錠を超えた場合に、照合秒数の増加は顕著であった。
【考察】取り揃えた医薬品に読み込み可能なGS1データバーが存在せず、ダミーコードにより照合を行うことは取り違えリスクであり、全国で調剤時のバーコード照合が普及した場合には、1錠に1つ等、より多くのGS1データバーを印字することが望まれる。また、ピロー包装にGS1データバーが存在しないために、ダミーコードが用いられたケースも確認され、改善すべき課題であると考えられた。