Japan Association for Medical Informatics

[3-G-3-06] 感染症数理モデルを用いたCOVID-19院内感染発生時の感染拡大シミュレーションに関する検証

*Ryuichiro Ueda1, Ayato Goto2, kita Ryuki2, Yamashina Hiroko3, ogasawara katsuhiko3 (1. 北海道大学大学院保健科学院, 2. 北海道大学医学部保健学科, 3. 北海道大学大学院保健科学大学院)

COVID-19, Nosocomial infection, Simulation


2019年12月に中国湖北省で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、日本国内において医療供給体制を逼迫させ、院内の感染者の確認が遅れたことによるクラスター感染が報告されている。そこで本研究では感染症数理モデルを用いて院内感染発生時を想定したシミュレーションを行い、感染者の早期特定と感染者数増加の関係を明らかにし、感染者の早期特定が感染拡大防止対策への手段の1つとなることを目的とする。本研究では、重症急性呼吸器症候群(SARS)による院内感染の数理モデルを参考にし、院内、院外の2つの状況下における感受性者人口、感染者人口、隔離された人口それぞれの推移を常微分方程式により単位時間あたりで表した。更に人口拡散率k(0≦k≦1)の係数を設定し院内の人が院外へ流れる状態を設けた。シミュレーションには先行研究に基づいた疫学情報により人口の算出に必要となるパラメータを設定し、院内において初めて感染が1人確認された日を1日目とすることで、感染が確認されてから隔離を行うまでの期間pを2,4,6と2日おきに設定した場合の期間ごとの院外感染者数を算出した。また、院外への人口移動がない隔離状態(k=0)を仮定し200人規模の院内における感染拡大の検証を行った。シミュレーションの結果、院内感染が確認された患者の隔離を行うまでの長さと院外感染者数の関係は60日までは1人目の院内感染者を隔離するまでの日数pが長いほど、院外感染者数は増加することが示された。次に、院外への人口移動が無い完全隔離状態とした場合、感染者数はp=2では30日で44人のピークに達し、一方、p=10では17日で62人に達した。院内感染による広まりは隔離が遅れるほど感染者数が増加することに加え、感染者数のピークが早まることが明らかとなった。医療崩壊を未然に防ぐため、早期の感染者の特定と隔離が院内において求められる。