Japan Association for Medical Informatics

[3-G-4-01] マルチタスク学習を用いた退院時のStroke Impairment Assessment Set予測

*Yuki Kosaka1, Kenji Araki1, Makoto Yasukawa1, Yoshikazu Kameda2, Teppei Shimizu2, Ayaka Kubo2, Miyuki Ito2 (1. NEC バイオメトリクス研究所, 2. 医療法人社団 KNI)

Multi-Task Learning, Stroke Impairment Assessment Set, Functional Independence Measure


回復期リハビリテーション病棟にとって、入院時の患者情報から、退院時のStroke Impairment Assessment Set(SIAS)を患者個別に予測することは、脳卒中患者のリハビリテーション計画の立案に重要である。SIASは、機能別に複数項目から構成されているため、項目別に予測モデルを学習することで、SIASの予測が実現できる。一方で、SIASは、Functional Independence Measure(FIM)という別の指標と関係性があることが知られており、この関係性を含めて学習することで、予測精度の向上が期待できる。そこで、本研究では、複数の問題を同時に解くマルチタスク学習手法を用いて、退院時のSIASとFIMを予測する問題を同時に解くことにより、退院時のSIASの予測精度が向上するかを明らかにすることを目的とする。本研究では、運動に関する項目に対象を絞り、SIASでは、麻痺側運動機能と筋緊張の上肢/下肢と健側機能の5種類、FIMでは運動項目の13種類、の各スコアを予測する問題を解くこととした。実験には、回復期リハビリテーション病院のデータを用いた。本データには、退院時のSIASが延べ40名分(全ての病名が脳卒中)、退院時のFIMは延べ161名分(約9割の病名が脳卒中)記録されている。そのため、SIASとFIMの各予測問題には、それぞれ40、161サンプルを用いた。また、両問題共通で、特徴量には入院時の患者情報の36種類、予測モデルにはリッジ回帰を用いた。Leave-one-out交差検定の結果、マルチタスク学習の適用の有無で、SIASの5種類の平均での平均絶対誤差は、それぞれ1.4、1.7(p<0.05)であった。この結果から、退院時のSIASとFIMを予測する問題を同時に解くマルチタスク学習により、退院時のSIASの予測精度が向上することが示された。