[3-G-4-02] 電子カルテ中の検体検査結果に基づく次の検査項目推薦の精度向上
Electronic Medical Records Utilization, Data Mining, Clustering, Clinical Specimen Inspection Recommendation
近年、電子カルテの導入が進んでいることを受け、その二次利用として、蓄積された電子カルテを解析することで医療従事者への支援を目指す様々な研究が進められてきた。しかし、その中で検体検査結果の解析に基づく推薦は、検査項目の種類の多さ等の理由から、まだ十分な結果が得られていなかった。現状では、検査結果による次の検査内容は医療従事者の経験則で決定されている。検査履歴の解析に基づく検査項目の推薦により、医療従事者の経験によるばらつきを防ぎ、必要な検査項目の欠落や不要な検査項目の削減といった効果が期待できる。
著者らはこれまで、検体検査履歴にパターンマイニングを行い、次の検体検査項目の推薦を行う手法に関して研究を行ってきた。検査項目の組み合わせが多種に渡り、従来のパターンマイニングで適切な結果を得ることが困難であったため、検査項目の組み合わせをクラスタリングし、検査結果と組み合わせることで、次の検査項目の推薦を可能にした。宮崎大学附属病院で実際に使われた電子カルテを匿名化した検査履歴を用いて、推薦精度の評価を行っている。
提案手法では、クラスタリングによる検査項目組み合わせの分類精度が推薦精度に大きく影響を与える。クラスタリングにDBSCANを用い、必ず同時に出現する検査項目をまとめ、同じ意図で行われる検査をよりまとまりやすくすることで、クラスタリングの精度を高め推薦精度も向上させることができた。実際の電子カルテの検査履歴の一部でルールを作成し、残りの部分でルールに基づいて推薦された検査項目と実際に行われた検査項目を比較する実験において、全199パターンの推薦のうち、21パターンで適合率が75%を超え、うち7パターンでは適合率が9割以上で、完全に一致するパターンも得られた。医療関係者による推薦内容の確認により、その有効性も確認できた。
今後、複数の医療機関の電子カルテデータへの適用を予定している。