Japan Association for Medical Informatics

[3-G-4-04] 平均器具検出数を用いた歯科診療内容推定手法の構築

*Shintaro Oka1, Kazunori Nozaki2, Mikako Hayashi1 (1. 大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子感染制御学講座(歯科保存学教室), 2. 大阪大学歯学部附属病院 医療情報室)

Dentistry, Image Recognition, Time Series Data Analysis, Electronic Medical Record


[背景]

歯科における診療録は,術後に入力され時間的な制約上,必要最小限の入力にとどまる.そのため入力忘れや漏れが生じることがある.岡ら(2018)により深層学習を用いた診療中の使用器具検出手法が提案された.そこで診療中の時系列的な使用器具情報から診療内容の推定が可能であれば,診療録入力支援の実現に繋がると考えられる.

[目的]

岡ら(2018)の使用器具検出手法を用いて診療内容推定手法を構築する.

[方法]

岡ら(2018)の手法に従いYOLOv3を用いて歯科用器具(23種類)および術者の手を学習させた使用器具検出器を構築し,65症例の映像から画像認識精度を算出した.フレーム毎の器具検出個数を24次元ベクトルデータの時系列データとした.さらに術者の手が検出されたタイミングでデータを分割し,各区間の平均器具検出個数を求め平均化時系列データとした.診療内容を4項目(P処,C処,RCT,RCF)とし,時系列データを対象として,1層および2層LSTMを用いて1000エポック学習を行い,平均化の効果を平均分類精度の最高値によって評価した.

[結果]

YOLOv3による画像認識精度は80.1%であった.LSTMを用いた平均分類精度の最高値は,時系列データ群を入力とした場合,1層では66.2%,2層では70.8%であった.時系列平均データ群を入力とした場合,1層では75.4%,2層では75.4%であった.

[考察]

時系列データに術者の手による分割を行うことで,診療内容の分類精度が向上したと考えられる.

[まとめ]
器具検出個数の時系列的データを術者の手で分割することで診療内容推定手法を構築した.その結果,診療内容分類精度が5~10%向上することが分かった.