[3-G-4-05] MID-NETを用いた急性冠症候群の検索精度に関する検討
Phenotyping, MID-NET, acute coronary syndrome
目的:医療情報データベースであるMID-NETを用いて、疫学研究の実施に適切な対象者の抽出が可能となるよう抽出条件を設定する。
方法:急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症)を対象とし、初期条件では2015/4/1~2017/3/31にDPC病名がある患者とした。該当者は診療録を確認し、真のケースとその他のケースに判定し、陽性的中度(PPV)を算出した。更に、機械学習によりPPVに影響する要因を検討し、PPV改善を目的に改良型アウトカムを作成した。本研究は本学医学系研究科倫理委員会により承認されている。
結果:初期条件により抽出された2400例中200例をランダムサンプリングして調査した。真のケースは24例、PPV12%であった。
機械学習では経皮的冠動脈形成術(PCI)が強く関連した。PCI実施例は37例、うち16例が真であった。特に入院当日に実施した6例は全て真であった。その他のケースは病名が労作性狭心症等であるか、病名は不安定狭心症であるが陳旧性心筋梗塞(OMI)も付与されていた。
以上を踏まえ、「入院当日にPCI実施した例は全例対象とする。入院翌日以降にPCI実施した例の対象病名は、急性心筋梗塞、不安定狭心症のみとし、病名にOMIを含む例は除外する」という改良型アウトカムを設定した。これにより対象となる14例は全て真となった。一方、感度は低下した。
また、東北大学病院循環器内科のデータを用いて改良型アウトカムを検証した。108例が対象となり、真は97例、PPV89.8%であった。また、追加の機械学習でエフィエントが強く関連したため、条件にエフィエントを加えると、82例が対象となり、真は76例、PPV92.7%となった。
結論:初期条件ではPPVが低かったが、病名やPCIの有無と実施日等の条件を調整し、PPVの改善が得られた。さらなる条件の調整により、感度を保てる可能性がある。