[4-A-2-02] 情報通信技術の活用事例:処方監査と疑義照会
prescription, dispensing, literacy
平成31年4月2日発の「調剤業務のあり方について」では、薬剤師が調剤に最終的な責任を有するということを前提として、薬剤師以外の者に実施させることが可能な業務の基本的な考え方がまとめられたが、情報通信技術を活用する場合においても、調剤の最終責任はこれらを利用する薬剤師にあると考えるのが妥当である。
調剤関連システム等に個別の作業指示を行うに際しては、薬剤師が調剤前に処方監査を行い、調剤後に最終確認を行う必要がある。演者が勤務した名古屋第二赤十字病院は、薬剤師が調剤前に処方監査を行い、最終監査と指導記録をカルテに残すシステム構築を行った。1999年、薬剤師法24条、薬剤師法23条の2にもとづき、オーダリングシステムと薬剤部門システムを同じベンダーが開発するという特殊な条件下で、オーダー電文受信前の確認画面で処方監査と疑義照会を実現した。2010年には電子カルテ化したが、機能を追加して本来の性能を発揮できた。病院薬剤師は患者情報をカルテから速やかに得られるため、早いタイミングで疑義照会を行うことが安全で効率的な業務遂行に有用であった。その後、PDA(Personal Digital Assistance)と調剤包装単位のGS1バーコードを活用した調剤鑑査と指導記録記載を実現した。
導入したシステムの運用には、監視と評価が必須である。監視とはシステムの異常検出(リソースの監視、ログの出力)、評価とはログにもとづいた分析による達成度の評価やサボリ対策がある。日常の振り返りが適切に行われることによって、システムが正しく評価され、性能が発揮できる。薬剤師がシステムを評価するために調剤機器を製造するメーカーは、機能ごとに仕様や基準等を明確に示す必要があり、基準等は業界団体の相互認証など統一した基準とするなどの取り組みが望まれる。