Japan Association for Medical Informatics

[4-A-3-01] COVID-19感染者情報把握のための院内システムの構築

*Atshiko Okagaki1 (1. 国立病院機構大阪医療センター)

COVID-19, infection information, Integrated system


はじめに:COVID-19の世界的大流行では、感染第1波の下で地域の感染対策も試行錯誤を繰り返していた。さらに感染爆発初期では実施可能な感染の検査が保健所で行なう行政検査としてのPCR検査のみで、保健所との検査依頼や結果の連絡は電話で行い、検査結果の記録と患者との連絡や治療状況の把握は紙あるいはエクセルの情報を元に行ない、電子カルテの記述欄に記載するという状況であった。このような状況を改善するため、感染状況や病院の対応の全体像を把握するためのシステム構築を行なった。
方法: PCR検査にあたって必ず同意書を取得することになっており、この同意書をスキャンしたデータ、および電子カルテの病名、院内全患者の体温の記録から37.5℃以上の患者を抽出する仕組み、院内PCR検査を開始してからはこの検査結果、さらにカルテの記載内容を統合し、これらのデータを同時に一覧できる仕組みを構築した。
結果:同意書をスキャンしたデータ、および院内発熱感者を抽出することで、誰に対して検査を行なったかを把握することができた。病名、カルテの本文、院内検査の結果を抽出することで検査の結果および患者への対応を把握することが可能となった。
考察:保健所で行なう行政検査の結果は、院内検査と同列の電子カルテの検査結果に入力するべきではないとの判断で、電子カルテシステムの外に検査結果が蓄積する状態であった。システムを構築してからは、PCR検査を行なったという情報を検索するには同意書の存在が有用であった。電子カルテ上では保健所の行政検査の結果は検査結果としては保存されておらず、カルテの本文に記載されているのみであった。このような状況で、PCR陽性者を抽出するためには病名を検索するのが有用であった。システム構築により、COVID-19関連の患者情報が把握できるようになり、感染対策の立案や医療資源の適切配置に役立った。