Japan Association for Medical Informatics

[4-A-3-03] COVID19診療支援に必要な医療ICTに関して

*Yasuhito Yamamoto1 (1. 東京都立広尾病院 小児科)

User Interface, COVID-19, Electronic medical record


ICや同意書といった合意形成の厳密化、遠隔診療などのICT活用への慎重論、公衆衛生報告すら困難にする過度な情報保護に対して、COVID19は破壊的なインパクトをもたらした。コロナ渦では初診医が包括した診療、結果伝達、届出作成、フォローアップは、分担制になり体制変更が日々行われる中で、漏れのない責任のある医療遂行には新しいシステムが必要になった。
 電子カルテと連動し、自動的に起動するwebブラウザ内にCOVID19診察用ダッシュボードを作成し記録、オーダー発行を集約した。看護トリアージ記録の自然文から、有症状外来エントリーを検出、医師が患者選択を行うと自動的に展開した。
保健所業務が逼迫する中、日時により検査委託先と連絡票の要否が変化した。複雑な運用の周知は難しく、自動切り分けが必要になった。必要書類や確認事項などは状況に応じて付箋表示やボタンのアクティブ状態を変化させることで誘導した。検査実施システムの検体受付、患者移動情報から状況を判別し、複雑なワークフローに対して医師業務を支援した。日々の関係機関への検査数や患者数の報告は複雑を極めたが、システムロジックが検査目的を自動判別し診断確定検査を抽出、人工呼吸器の状態を1分ごとに収取し、看護フローシートを解析し、バイタル情報やベッド情報をあわせて、重症度分類をリアルタイムで演算、患者数報告を自動化した。保健所の連絡票や発生届けは、患者基本情報だけでなく検体種別や結果、各種日付など自動展開させた。症状や所見入力の不備に対しては、カルテ全文検索と自然言語処理を組み合わることで入力を省力化し精度を高めた。
 データ収集の意味では今の医療ITは一定の領域に達したが、それらを組み合わせ精緻な情報を抽出、連絡する仕組みは未踏と言わざるを得ない。新興する疾病に対してICTの活用領域はいまだ広いと考えた。