Japan Association for Medical Informatics

[4-A-3-04] 札幌医療圏の「CovidChaser」を活用したCOVID-19陽性患者入院調整について

*Shuji Uemura1, Ryuichi Nakayama1, Hiroyuki Aruga2, Hirotoshi Mizuno1, Takehiko Kasai1, Eichi Narimatsu1 (1. 札幌医科大学 救急医学講座, 2. DBPowers Co.Ltd.)

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背景:札幌市は4月中旬からCOVID-19の急速な感染拡大(北海道第2波)を経験したが、保健所内入院調整チームと各医療機関の連携により、医療崩壊を生じず乗り切ることができた。連携には独自で開発したCovid19受入れ数共有システム=「CovidChaser」が有用であったので、開発経緯と活用状況、今後について報告する。
開発経緯:4月初旬札幌市は第2波に向け受入れ医療機関の拡充を目指した。その中で情報共有用メーリングリストとリアルタイムで患者数が共有できるシステムが必要と考え準備開始した。共有システムに関して株式会社DBPowersから無償協力を頂き、クラリス・ジャパン株式会社からライセンス無償提供を頂いたため、FileMaker WebDirect を使用し、各医療機関が患者数と受け入れ可能数を入力し、リアルタイムで情報共有できるシステム「CovidChaser」を開発することとなった。
活用状況:4月17日から外部支援チームが保健所に入り、18日に「CovidChaser」仮運用、20日から本運用を開始し、各医療機関に1日2回現状を入力して頂いた。日々の状況で入力項目のニーズも変わったため、都度システム変更をお願いした。医療機関との情報共有はメーリングリストで即時、確実に実施し混乱なく運用できた。結果は病院間搬送や宿泊療養も含めて4週間で453件(平均16件/日、最高31件/日)の搬送調整を実施できた。
今後:外部支援チーム引き上げ後も「CovidChaser」を軸にした入院調整を継続しているため、運用に関して市と委託契約予定である。また今後は北海道に拡大する話も進んでいる。
結語:医療崩壊を起こさないためには、各医療機関の役割分担を明確化し、適正な受入れ調整や病院間搬送が必要であり、そのためには情報共有が必要であったため「CovidChaser」は非常に有用であった。