一般社団法人 日本医療情報学会

[4-A-3-05] 横断的ICU情報探索システムを用いた全国のCOVID-19重症者の把握

*橋本 悟1 (1. 京都府立大学医科附属病院集中治療部, Division of Intensive Care Unit, University Hosipital, Kyoto Prefectural University of Medicine)

COVID-19, ECMO, Registry


我が国のCOVID-19の拡大は、各国と異なりダイアモンドプリンセス号をepicenterとする横浜市周辺の医療崩壊寸前の状況から始まったと言ってもよい。このクルーズ船が横浜港に到着した2/3時点で下船延期が決定され翌日から多くの感染者が確認された。この時点で国内のそれ以外の感染者数は10名のみで死亡者はなくまだ危機感は薄い状況であった。しかしその後次々と乗客が重症化し、各地に広域は送されたが数名はECMO管理を必要とするに至った。一方、集中治療医学会や呼吸療法医学会は早期から海外の情報を得て危機感を募らせ、2/11には危機管理委員会・ECMOプロジェクト委員会、感染管理委員会が合同施設調査を開始した。2/12にFileMaker(クラリス社)で入力するデータベースCRISIS(Criss Icu Searchable Information System)の構築が決定し2/15に仮完成して運用を開始した。運用開始にあたっては日本集中治療医学会専門医認定施設、日本救急医学会救急科専門医指定施設の全施設に対して参加を呼びかけた。同時にCOVID-19対策ECMOnet(日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本呼吸療法医学会合同)が重症患者に関して24時間の電話相談を開始した。この電話相談とCRISISの活用により治療相談、重症患者搬送などが可能となった。参加協力施設は徐々に増加し、8/4現在で全国619施設が参加し、累積ECMO症例は189症例、人工呼吸症例は665症例に上った。本システムによりECMOを必要とする多くの重症患者を速やかに高機能病院に搬送することができた。また第二波における重症者の増加についてもいち早く警鐘を鳴らすことができたと考える。