Japan Association for Medical Informatics

[4-B-1-01] 医療情報科学におけるリスクリタラシーの漸弱性に関する一検討

*Tamotsu Urushibata1, Mariko Nagumo1, Sadao Anazawa1 (1. 高津看護専門学校)

Risk literacy, Health Information, Innumeracy, Vulnerability, Making Decision


[背景]ː現今のCovit-19(死者数1千人)について、他の死亡原因(例H30:癌37万、肺炎9万、不慮の事故4万、自殺2万)の方が遥かに多いのにもかかわらず感染者数の頻繁な報道、PCR検査の精度不透明性、各国の検査背景の多様性はあるけどPCR検査数と死亡数との相関係数+0.59(2020/8/12)と当然あるべき負の相関にない、それにも係わらずPCR信仰へと誘導しうるニュース、他の検査治療等の必要性への各種報道過多は、選択肢の限られた一般国民にとり過剰に不安を煽るだけの感がある。上記は一例とし情報の数値の解釈が人々の疾病像に対する理解そして心理面に強く影響する。数字への正しい判断能力が治療選択に際して意思決定に必然的に係り負の医療行為リスク減少に繋がるため、ニュースや情報へ医療従事者に正しい判断その高い能力の普遍性と安定化がその専門性から社会的責任として求められる。[方法と結果]Covit-19他の情報の検証とともに医療の効果を示す陽性反応適中度PPV(発症率、感度、特異度)、絶対、相対リスク減少の理解を、Lipkus尺度の平均的な看護学生から解答を得この能力の安定性を試みた。PPV理解度は授業自体の効果があり正解率70%(40人中)となるが、次第に減衰し半年後には10%とこの能力の不安定性を示す。また数値的内容は同等だが話題が違う質問に対し異なる反応を示し、結果にバイアスが生じる。[結論]:意思決定の生起メカニズムからもニュメラシー能力は、医療従事者のリスク認知の正しい理解へのギャップを生じうる。この能力の不安定性は、情報への冷静な判断の力を鈍らせ、現実社会において患者諸氏へ負のリスク(例:精神、身体、金銭、時間等)発生の原因となりうる。またこのことは有用なところへのシフトすべき医療従事者の労働量及び経費他の迂回や無益の増大減少を内包している。今回のリスクリタラシー能力の漸弱性を示す検討が、特に医療従事者において情報理解の能力強化と維持の必要性を強く示唆している。