Japan Association for Medical Informatics

[4-B-1-02] 生体音を可視化して聴診のトレーニングに生かす

*Hiromi Kojo1, Shumpei Saito1, Shimpei Ogawa1 (1. AMI株式会社)

auscultation, data visualization, heart sounds, stethoscope, simulation training


【背景】聴診は問診・視診・触診・打診とともに、根拠に基づいた看護ケアを実施し評価するのに重要な、フィジカルアセスメントの必須技術である。医療従事者のうち、医師や看護師は学生時代に講義や実習で学ぶこともあるが、臨床現場で改めてトレーニングする機会は少ない。多くの看護師は心音の聴診で異常を聞き分けることが難しいと回答した報告もある。他者が聴いた音と、自分が聴き取った音に違いがあるのか明確な判断基準がないことが、困難さの一因であることが考えられる。本研究では電子聴診器で取得した心音を、周波数解析を用いて可視化し心雑音が判別できるかを検討した。

【方法】聴診専用スピーカーで正常症例、重症大動脈弁狭窄症例の2種類の心音を出力し、5種類の電子聴診器でそれぞれ取得した。取得した心音を時間・音圧・周波数の3次元スペクトログラム画像で表示し、I音、II音及び、収縮期雑音が視認できるかを検討した。

【結果】5種類の電子聴診器において、I音、II音および収縮期雑音が出現する周波数帯域やノイズの程度が異なっていた。正常症例では5種類全てにI音、II音のシグナルが明確に出現し視認できた。重症大動脈弁狭窄症例では、心音の視認が難しい電子聴診器も存在したが、その他ではI音からII音に続く連続したシグナルを視認することができた。

【考察】音を聞くだけでなく画像として見ることで、心音の聴取が苦手であった著者(看護師)が大動脈弁狭窄症の心雑音が聞き分けられ、その特徴を他者へ説明できるようになった。取得した音と可視化された画像を用いることで、聴診トレーニングを効果的に実施できる可能性がある。