Japan Association for Medical Informatics

[4-C-2-03] 歯科医療の変曲点で我々はなにをなすべきか -医科歯科連携に関する取り組みと今後の課題-

*Kanae Niimi1, Ichiro Suzuki2 (1. 新潟大学医歯学総合病院 医療連携口腔管理治療部, 2. 新潟大学医歯学総合病院 患者総合サポートセンター)

Medical-dental cooperation, team approach, quality of life


新潟大学医歯学総合病院では医科疾患の治療に関する感染対策,粘膜炎対策,顎骨壊死対策等に対してチームで診療にあたる口腔支持療法外来を2011年10月に開設,その後2012年11月には専任の歯科医師と歯科衛生士を配属し,体制を強化した医療連携口腔管理チームに改組した.2017年8月からは入退院支援部署である患者総合サポートセンターで入院治療に際して歯科受診が必要な患者のスクリーニングを開始し,早期の歯科介入につなげることとした.このチームは2020年4月から中央診療部門の一つとして医療連携口腔管理治療部に移行している.診療体制の拡充に伴い,医療連携口腔管理治療部(旧医療連携口腔管理治療チーム)の患者数は経時的に増加しており,それにより術後感染や誤嚥性肺炎などの術後合併症を減らし,患者QOLの向上や入院期間の短縮による医療費削減にも寄与していると考えている.

一方で,口腔内の状態によっては感染巣の治療に歯の根管治療や多数歯の抜歯といった,繰り返しや長期にわたる処置が必要となることもあるが,歯科での治療開始が主病に対する手術や治療の数日前に開始となる症例もあり,全ての症例で必要な処置が行えていないもの現状である.これは周術期管理や感染予防のための歯科治療の必要性が医科主治医に十分には認識されていないことが要因の一つと考えられる.また,当院への頻回な通院が不可能な患者は患者の利便性から居住近隣の歯科診療所への通院が必要となるケースもあるが,かかりつけ歯科医院がない,などの理由で紹介先の選択に難渋し,結局術前の口腔内の環境改善には至らない症例も多い.

本シンポジウムでは新潟大学医歯学総合病院における院内,院外の情報共有を含めた医科歯科連携の取り組みを示すとともに,現状での問題点と今後課題について議論したい.