Japan Association for Medical Informatics

[4-F-1-05] 放射線レポートのエンティティ抽出モデルの他部位・他病院への適用可能性の評価

*Kento Sugimoto1, Toshihiro Takeda1, Shoya Wada1, Shiro Manabe1, Takashi Matsunaga2, Shozo Konishi1, Yasushi Matsumura1 (1. 大阪大学大学院 医学系研究科, 2. 大阪国際がんセンター 医療情報部)

Natural Language Processing, Machine Learning , Information Extraction, Radiology Report


【背景】放射線レポートには放射線医が記述した診断における重要な情報が記述されており,この情報は,臨床研究や診断支援システムなど様々な分野での活用が期待されている.二次利用のためには,フリーテキスト形式で記述されたレポートから必要となる情報を抽出して構造化する必要がある.我々は大阪大学医学部附属病院に蓄積された胸部CTレポートを用いて,重要な情報をエンティティとして抽出する機械学習モデルを構築した.このモデルの抽出精度は,F1-scoreが95.4%と高い精度を記録した.しかし,このモデルは,自院のレポートで訓練・評価しており,他病院のレポートへの汎用性は評価できていない.また,胸部CTレポートを用いて学習したモデルを,他部位に展開する際,転移学習が可能なのかという点は明らかになっていない.
【目的】本研究は,学習済の胸部CTレポートの他病院への適用可能性について評価する.また,胸部CTレポートで学習したモデルを他部位に適用した場合の精度について評価する.
【方法】学習済のモデルとしては,大阪大学医学部附属病院に蓄積されている胸部CT画像の所見レポートを利用した.評価用の他病院のレポートとして,大阪国際がんセンターに蓄積されている胸部CT画像の所見レポートを利用した.また,評価用の他部位のレポートとしては,大阪大学医学部附属病院に蓄積されている腹部CTレポートを利用した.
【結果】大阪国際がんセンターのレポートを使用した場合のF1-scoreは93.8%であった.大阪大学医学部附属病院のレポートでの評価結果と比較して1.6%低下したが,高い精度を維持しており,他病院への適用可能性が十分に高いことを示している.腹部レポートに適用した場合のF1-scoreは93.0%と同様に高い精度であった.
【結語】学習したモデルを低コストで他部位・他病院に展開するための適用可能性を評価した.