一般社団法人 日本医療情報学会

[5-A-1] 産官学連携企画:医療情報システムの貢献を測り、展望を図る

*木村 通男1、小林 利彦2、大竹 雄二3、明神 大也3、佐藤 大作4、青木 事成5、副島 秀久6 (1. 浜松医科大学, 2. 浜松医科大学医学部附属病院 医療福祉支援センター, 3. 厚生労働省 保険局 医療介護連携政策課 保険データ企画室, 4. (独) 医薬品医療機器総合機構, 5. 日本製薬団体連合会, 6. 済生会熊本病院)

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データ(1)は意味的・形式的標準化がなされてインフォメーション(2)となり、その使用目的によりインテリジェンス(3)を生む。これは筆者が10年前理事長時代に当学会学会長講演で示した図式である。

ビッグデータ解析などで、昨今急に医療情報システムが持つ情報へのニーズが高まり、結構な頻度で失望もされている。一方で、30年前ごろから導入されたオーダエントリ、その他の情報システムのおかげで、当時の数倍の患者数を、当時と同じスタッフで、待ち時間少なく対応できている。簡単に言えば、業務データは(2)または(3)のレベルとなっており、研究データはほとんどが(1)ということである。医療情報システムは、業務改善のための投資はされたが、研究のデータを出すために費用をもらったことがないので当然の結果である。(1)と(2)の違いに気付かず、失望の後、それなら自分たちで入れて作る、とおっしゃるリッチな研究プロジェクトも多いが、それは臨床研究においてCROが人手と謝金で行っていることであり、CROたちは、この後もこのままでは、、と脱皮を図っている仕組みで、まさにループに嵌っている。
当セッションでは、まず業務面の貢献を小林先生にご報告いただき、その後厚生労働省の保険資格デジタル認証、大規模データベース公開を保険局の大竹先生、明神先生にお願いし、間を挟んで第2部では臨床へのフィードバックをテーマに、オーダデータを利用して薬剤副作用検出に実用化されているMID-NETについて、PMDAの佐藤先生、中外の青木先生に、さらに進んだクリニカルパスの改善を熊本済生会病院の副島先生にご報告いただく。最後に筆者が、故開原先生が1994年に示した。医療情報「5年後」の達成目標への現在での評点を、筆者が僭越ながら2010年に示した課題とともに示し、展望を示す。