一般社団法人 日本医療情報学会

[5-A-3-01] MID-NETⓇのクオリティーと利活用

*佐藤 大作1 (1. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構)

real world data, real world evidence, pharmaceutical safety, medical information, pharmacoepidemiology


MID-NETⓇは、厚生労働省の支援の下で平成23年度に開始された医療情報データベース基盤整備事業により構築されたデータベースである。東京大学医学部附属病院、浜松医科大学医学部附属病院、九州大学病院等の10拠点/23病院が協力しており、病院の電子診療情報を薬剤疫学等に基づく医薬品評価に活用できるシステムである。MID-NETⓇは分散型のデータベースであり、データは病院毎に保有されるが、SS-MIX2の規約に基づき標準化し、必要なデータが調査毎に抽出され、結果が集約される。
 データの信頼性確保に注力しており、データの品質管理及び標準化も行っている。病院の入力情報がMID-NETⓇに適切に送信されデータベース化されているかをデータの正確性(accuracy)、内容の一致性(consistency)、完全性(completeness)の観点から担保している。病院情報システムからのデータ受信件数やプログラムの処理件数等を日々管理しており、迅速な対応、問題の早期解決を図っている。
 MID-NETⓇの特徴は、レセプトのみならず、複数病院の多種多様なデータ(電子カルテ、レセプト、DPC及び260項目の臨床検査値)を高いレベルの信頼性の下で活用できることであり、GPSP省令が求める水準を満たしている。そして、最新データの活用が可能であることである。データベースの規模は約505万人(令和元年12月現在)だが、他の病院グループとのデータ連携を進め、利用できるデータ規模を1000万人まで拡充を目指している。
 平成30年度4月、MID-NETⓇの本格運用が開始され、行政的利活用の他、企業等により利活用も行われている。PMDAの行政利活用では、G-CSF製剤と血小板減少との関連、ワルファリン服用患者におけるC型肝炎治療薬による血液凝固能への影響等についてMID-NETⓇによる評価を行い、添付文書改訂などの行政措置にも活用した。今後も企業による製造販売後調査での課題について、積極的なMID-NETⓇの活用を促し、医薬品安全性評価の質的向上に貢献していきたい。