一般社団法人 日本医療情報学会

[5-A-3-03] クリニカルパスと医療情報が病院を変えていく時代

*副島 秀久1 (1. 済生会熊本病院)

real world data, BOM (Basic Outcome Master), PDCA cycle


クリニカルパス学会と医療情報学会の合同委員会が2015年に立ち上がり、パスのデータモデル作成や電子パスの基本仕様作成などに取り組んできた。この間、ベンダー、医療現場、AMED等の支援も得て、RWD (real world data)の取得と統合解析が可能な状況ができつつある。アウトカム志向パスの医療記録をBOM(Basic Outcome Master)で表現し、電子化にマッチするOAT(Outcome-Assessment-Task)という診療基本単位で整理することで、EHRは叙述記録からデータ活用可能な構造化記録へと移行した。従来は現場から集めたサンプルデータを分析し、新知見を見出し、論文化して社会に問いかけ、その後現場にフィードバックされ、医療の質改善に資するというプロセスが一般的だった。しかし情報学の進歩によりRWDが迅速に抽出できリアルタイム解析が可能になれば、質改善のPDCAサイクルを高速で回すことができる。すなわち医療情報学がより効率的で質の高い価値ある医療を現場に還元させることで、病院を変えていく時代が来ている。もちろん、課題も多い。解析の主要部分である薬剤と検査の領域では厚生労働省標準のHOTやJLAC10が存在するが、未だ十分活用されていない。これからの情報活用を考えると標準コードの使用を診療報酬請求の要件にするなどのインセンティブが必要だ。コード体系やマスターは恒常的な維持管理が必須であり、公的な機関が責任をもって行う体制が望ましい。情報インフラである様々なコード体系が個々の医療機関で野放し的に使用されるとカオスとなる。情報インフラは恣意的な選択ではなく標準化を目指した誘導が必要で、これにより我々は共通の「通貨」を持ち、情報学の価値をより高め、医療の質改善だけでなく、新薬創出や新規医療技術の開発、迅速な疫学的政策決定などの社会貢献が可能になる。