Japan Association for Medical Informatics

[5-B-1-01] 退院時サマリー Now and Beyond ~合同委員会からの基調報告~

*Sunao Watanabe1, Osahiro Takahashi2, Sakai Iwasaki3 (1. 一般財団法人 医療情報システム開発センター, 2. 公益財団法人 ちば県民保健予防財団総合健診センター, 3. NPO法人 卒後臨床研修評価機構)

patient summary, problem list, functional status, personal health record


2019年10月に厚労省より保健医療情報分野の標準規格として認定された退院時サマリーは,HL7 CDA R2の規格に従って入院時診療情報を総括し,次の医療従事者に継承するための重要ツールと位置づけられる.退院時サマリーの基軸はICD-10によってコード化された病名列であり,そこに発生時期やショートコメントをつけた基本枠が規定され,「プロブレムリスト」の体裁を取る.臨床医の概念理解や臨床教育の浸透により,これが入院時の主たる対象疾病のみならず,既存症を網羅表示するように適切に記載され,さらに各プロブレムについて発生時期情報も入力されると,そのまま外来管理において患者情報のコアとして機能しうる.退院サマリーの基軸たる病名列構造を流用した外来サマリーないしinterim summaryの構造構築が,こうして可能となるのである.
長期的な健康管理(外来管理,慢性期診療,在宅)においていかに患者情報をサマライズして簡潔明瞭に包括把握できるようにするか,が喫緊の課題である現在,このプロブレムリスト,および同じく標準化サマリーの規定枠である「アレルギー・不適応反応」フレームが貴重な軸を提供すると思われ,処方情報(ならびにデバイス情報)とあわせ,patient summaryのコンテンツの主要部分を提供できると考えられる.
さらに,患者の生活機能がどのようであるのか,ICFないしICD-11 V章のcodeによって標準表記された生活機能サマリーが作成され,上記のpatient summaryに統合されることで,真に地域包括ケア時代の健康管理の基軸情報となり得るものと期待される.合同委員会では,退院時サマリーの正しい普及策を図るとともに,patient summaryの標準化に向けてのベクトルを指し示し,検討を続けてゆく予定である.