Japan Association for Medical Informatics

[5-B-1-02] 看護サマリーから生活機能サマリーへ

*Yumiko Uto1 (1. 鹿児島大学病院 医療情報部)

Summary of Functioning and Disability, Nursing Summary, ICF, FIM


我が国においては、高齢社会の進展に伴う疾病構造の変化や、経済格差に起因する健康格差、さらに新興感染症の発生や拡大などの新たな問題への対応が急がれている。ヘルスケアシステム改革の方策の一つとして、多職種連携及び多職種連携教育が重視されている。複数のリスクファクターを有する高齢者の増加への対応は、多職種連携によるヘルスケアの介入が極めて重要である。
 高齢者が退院する時は、患者の健康状態、併存疾患、社会的側面などの要素が複雑に絡み合っているために、多職種が協働し、包括的な退院支援を提供することが求められている。診療報酬上も入退院支援加算として評価されている。退院困難な要因を有する入院中の患者であって、在宅での療養を希望する場合、あるいは入院前から支援を行っている場合、さらに、当該患者の基本的な日常生活能力、認知機能、意欲等について総合的な評価を行った上で、その評価をふまえて入退院支援を行った場合などに加算が認められ、拡大の方向で進んでいる。
 多職種連携による退院支援の実践は、アセスメント、患者・家族への医療管理・ケア方法指導、退院後の生活を考慮した日常ケア、退院前合同カンファレンス、退院後のフォローアップなど多岐にわたっている。しかし、一方で、各専門職の役割についての理解の違い、ケアに対する見解の違い、優先順位の違い、専門教育の違い、多職種連携教育の不足など、実践に際しては課題も多い。
 国際生活機能分類(ICF)は、健康状況と健康関連状況を記述するための統一的で標準的な言語と、概念的枠組みの提供を目的としている。看護職は施設内看護のみならず、在宅における看護まで幅広く患者・家族に関わっている。患者を全人的にとらえ、次のステージへ何を送るべき情報かを見極め、それを多職種の共通言語で記述していくことこそが、非効率的な情報交換を防ぎ、専門職のストレス軽減につながる重要な役割と考える。