Japan Association for Medical Informatics

[5-B-1-04] 医療情報システムにおける患者情報の包括的なサマリー(PPI)の整備

*Yukio Kurihara1 (1. 高知大学)

Patient Summary, Patient Profile, Standard Dataset, International Standard, Patent Data Sharing


病院情報システム(HIS)における電子カルテ(EMR)では患者情報がデータ区分毎に分散保管されており、システム内で共有化される患者情報から患者の全体像を即把握することはできない。また、地域医療連携支援のための患者情報共有では各施設の生の診療データが共有されており、提供される側は患者の状態を把握するのに労力を要する。そのため、患者情報が電子化され、膨大になる中では施設内外を問わず効率且つ的確な医療を実施するためには、要約された患者情報が用意されていることが望ましい。患者の全体像を把握するための患者プロファイル情報(PPI)は多くのHISで用意されているが、データ登録は初診時や入院時が主であり、患者の記憶に依存する部分が多く、十分なデータ収集ができていない。加えて、PPIのデータ項目は施設依存性、医療情報システムのベンダー依存性が強い。一方、医療者による患者情報の要約は日常診療において作成されるタイミングは患者紹介時や退院時であり、頻度が少ない。しかし、患者紹介時に作成される診療情報提供書(患者紹介状)の標準規格は2008年に、退院時サマリーの標準規格は2019年に承認されており、これら紹介先や転院先の医療機関にオンライン提供され、それらに含まれるコード化されたデータ項目が受け入れ先のPPIのデータ項目にあれば、そのまま取り込み、利用できる。また、今後作成される疾患別・機能別の標準規格における標準コードを用いたデータ項目をPPIのデータセットに用意しておけば、患者が医療機関を移動する度にPPIが充実し、患者の記憶に頼らない信頼性の高い包括的な患者情報サマリーが自動作成され得る。従って、各種の標準サマリー規格を整備すると同時に、医療情報システムにおけるPPIのデータセットの共通仕様を整備して行くことが重要である。本演題ではこの共通仕様整備について論じる。