Japan Association for Medical Informatics

[5-B-1-06] ユースケースに基づくPatient Summary

*Naoki Nakashima1 (1. 九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター)

Patient Summary, IPS, Use case, Personal Health Record


医療情報の時間・空間軸が拡大している。電子カルテでは法定年限の5年でデータを消去することはまずなく、健康医療データを生涯蓄積するEHRコンセプトも広まった。また医療サービスは、遠隔診療やIoTの後押しもあり医療施設から家庭など日常の場に拡大しつつある。これらの情報自己管理にはPHRが期待される。
時間・空間軸の拡大に伴うデータ項目増加により「情報爆発」が助長される。単なる蓄積だけでは情報種・量が多くなりすぎるのだ。もしPatient Summaryが標準的な形で情報を整理すれば、膨大なデータの理解や2次利用が容易となる。
Patient Summaryでは、国際的な標準化策定が進みつつあるInternational Patient Summaryへの準拠/連携を視野に入れつつ、ユースケース別に主に臨床面からデータ項目や期間などを整理する必要がある。すべての目的に使える単一のサマリーはない。厚労省標準規格化された退院時サマリーの他、長期の病歴把握を目的とする「病歴サマリー」、高齢社会で求められる生活機能サマリーなどが医療施設側から挙がる。喘息や糖尿病、癌などの疾患別サマリーは患者自己管理も支援する。一方、健康、未病の国民も多く、長期の健診データや日常身体データを俯瞰できる健康サマリーも重要である。胎児期から乳児期の母子健康手帳の電子化もサマリーである。さらには新型コロナウイルスに関する情報(PCR、抗原、抗体検査結果と歴、ワクチン接種歴など)は医療のみならず、渡航時の検疫やイベントや旅行、病院へのお見舞いなどの際のチェックに使う仕組みづくりが進みつつあると聞くが、これもユースケースに基づいたサマリーと言える。そう考えるとPHRのユースケースとサマリーのユースケースは非常に近い関係と言える。また、電子カルテとPHRの双方向の連携にはこのようなユースケースを利用することが有効ではないか。