Japan Association for Medical Informatics

[5-C-1-01] 改正薬剤師法・薬機法に伴い医療機関・薬局が薬剤情報の連携をするために克服すべき課題

*Fumito Tsuchiya1 (1. 医薬品安全使用調査研究機構 設立準備室)

New Pharmacists Act, Hospital Information System, Pharmacy System, Collaboration


昨年改正された薬剤師法・薬機法は本年9月1日から施行された(一部は令和3年8月1日、令和4年12月1日)。これらが病院情報システム、薬局の情報システムに及ぼす影響は少なくないことから、今回の法改正に対して求められる対応や克服すべき課題について述べることとする。
 薬剤師法第25条の2は今まで調剤時に情報提供・薬学的指導を行う事が義務化されていたが新たに第2項として、患者の当該薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握とその間の情報提供及び必要な薬学的知見に基づく指導義務が追加された。また、薬機法では第1条の5の2として、薬局の薬剤師に対して、医療を受ける者の薬剤又は医薬品の使用に関する情報を他の医療提供施設において診療又は調剤に従事する医師若しくは歯科医師又は薬剤師に提供することにより、医療提供施設相互間の業務の連携の推進に努めなければならないという医療提供施設と医療機関間の情報の連携が努力義務として課せられた。患者の服薬状況等の経過観察で得られた情報を医療機関に情報提供する仕組みが薬剤師法・薬機法という職能を定める法で定められたことは、情報システムとしての対応が必須ということになる。
 また、新薬機法では従来対面を要求されていた服薬指導が遠隔服薬指導の形で行うことが可能となった。このことは薬局を前提とした規定であるが、医療機関の調剤所においても準用できるものと考えられる。特に入院患者が退院をして、次回の外来診療が行われるまでの期間は、実質的に病院薬剤師に前述の情報提供及び指導義務等が課せられていると考えられることから、退院患者との間での遠隔服薬指導をどのように行うのかについてシステム的な検討が必要となる。
 このように今回の法改正は情報システムの対応について、影響を及ぼすことから、本ワークショップでは、克服すべき課題、あるべき姿についての議論を行いたいと考えている。