一般社団法人 日本医療情報学会

[2-A-4-01] 医療情報データ統合による革新的医療研究拠点事業について

*白鳥 義宗1、矢部 大介2 (1. 東海国立大学機構 医療健康データ統合研究教育拠点、名古屋大学医学部附属病院、2. 東海国立大学機構 医療健康データ統合研究教育拠点、岐阜大学医学部附属病院)

COVID-19の流行で病院経営や職員の勤務に大きな支障が出ると共に、2025年の崖というIT業界の大きな課題が前倒しで医療業界にも押し寄せて来ている中で、令和2年4月、国立大学では初めて総合大学同士の法人統合である東海国立大学機構が発足し、4つの拠点事業(糖鎖・航空宇宙・農学教育と当拠点)が設置された。近年、地域医療連携システムなどにより人の目でデータを見ることは出来るようになってきているが、そのデータを抽出して国内の他施設や他大学病院と比較することは未だに困難である。しかし、それをリアルワールドデータの形で特に手を加えずに他国のデータと比較する事が出来れば、臨床研究でも実臨床の質改善に大きく寄与すると考えられる。
 当拠点では、名古屋大学と岐阜大学の電子カルテデータを統合利用できるような臨床研究プラットホームの整備を進めている。また、地域医療の支援として、市中病院に対し、データ標準化について臨床研究中核拠点病院の取組みを紹介するなどの活動を行っている。実際のデータ利活用においては、自治体からの委託でDPCデータ解析し、地域医療行政にフィードバックしている。
 以上のようなデータ利用の先にある医療とは、疾患毎の治療選択ではなく、データに基づき個々の患者毎に最適化された治療選択がされるきめ細かな医療の実現と思われる。これまで名古屋大学と岐阜大学では、各々のスマートホスピタル構想の下、AIを活用した研究開発や診療支援、IoT技術の利用による医療の効率化の研究等に取り組んできた。今後、医療のデジタルトランスフォーメーションを推進し先端技術を健康・医療の現場に引き寄せる拠点となるよう、多くの事業と協調し、地域の医療データの利活用、医療データの統合・利活用が推進され、医療健康データを活用した未病・予防・精密医療が現実のものなるように推し進めていく予定である。