一般社団法人 日本医療情報学会

[2-B-1] 薬機法で義務化されるGS1バーコード・RF-IDの利活用に向け、国・産業界・医療機関は何をなすべきか
―医療現場での実証から実装への転換に向けて―

*美代 賢吾1、植村 康一2、冨木 隆夫3、菊地 公明4、山下 暁士5 (1. 国立国際医療研究センター 医療情報基盤センター、2. (一財)流通システム開発センター、3. (一社)日本医療機器販売業協会、4. (一社)日本SPD協議会、5. 名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター)

GS1 barcode, Traceability, Hospital Management, Medical Safety, Medical Logistics

新型コロナウイルスによるパンデミックは、はからずも日本における医療サプライチェーンの脆弱性をあらわにした。医療の質、安全性、効率化を進めるためには、どの製品がどの患者にいつ使用されたのかを追跡できる仕組みと、誤使用を行わない仕組みが必要である。そのためには、医療製品の識別とトレーサビリティのための標準化が極めて重要であり、デジタル技術を用いたデータ連携が必須となる。
2019年11月、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)が改正され、医療用医薬品のみならず医療機器・材料などへのバーコード表示が2022年12月以降義務化されることとなった。国内ではすでに多くの製品に国際標準であるGS1標準の識別コードとバーコードが表示されてはいるが、この薬機法改正により、まさに製品識別と利活用ための環境が整うといえる。言い換えれば、メーカーは製品識別とその情報を取り込むためのバーコード表示という責任を義務として果たすことになり、医療機関側は、この表示されたバーコードをどのように活用するのかということが期待され、求められることとなる。
本ワークショップでは、医療製品の中でも、特に医療材料の識別とトレーサビリティに焦点をあて、メーカーから患者への使用までの医療材料の流れを俯瞰的にとらえられるよう、日本の政策とGS1バーコード利用の推進、流通での利用、EDI・データ交換の状況、病院内外のデータ連携・院内物流の実態、病院内でのマスタ、電子カルテ、システム設計の在り方等について報告し意見交換を行う。併せて、現在厚生労働科学研究で進められている、安全性の向上、流通および医療事務の効率化、リコールへの迅速な対応など、GS1バーコード・RF-ID利活用のために、医療機関に標準的に実装されるべき機能と運用の手順書の状況についても報告する。