一般社団法人 日本医療情報学会

[2-B-1-01] 薬機法によるバーコード表示の義務化
―患者安全と効率化のためのGS1バーコード利用とデータ活用―

*植村 康一1 (1. (一財)流通システム開発センター(GS1 Japan))

国内の医療用医薬品や医療機器のほとんどの包装単位には、国際標準であるGS1標準のバーコード(以下GS1バーコード)が表示されるようになっている。これは2006年以降、医療安全の向上、流通の効率化を目的に、厚生労働省の通知にもとづいて産業界が進めてきた成果と言える。2019年12月に公布された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(以下、改正薬機法)では、この取り組みがさらに進められ、トレーサビリティの向上を目的に、厚生労働省通知による推奨であったバーコード表示が義務とされることになった。製品へのバーコードの表示を確実にするとともに、医療機関での利用が期待されている。
 医療製品に利用されているGS1バーコードには、商品コードであるGTIN(Global Trade Item Number)に加えて、有効期限やロット番号の表示も行われており、取り間違い防止、リコールへの迅速な対応、事務処理の効率化など様々な場面での利用メリットが世界各国で実証されている。日本は最もGS1バーコードの表示が進んでいる国の一つであり、ほとんどの製品がバーコード表示されているという非常に恵まれた利用環境にある。改正薬機法ではこの状況をうまく利用し、PMDAに集約された「電子化された添付文書」の閲覧を、GS1バーコードを利用して行うということも進められている。しかし、その一方で、患者の安全性を向上し、医療機関での事務処理の大幅な効率化も可能とするような利用が十分進んでいるとはいえない。GS1バーコードを効率的に利用するためのデータベースや運用手段、医療機関内の情報連携などの整備が大きなテーマとなってきたと言える。国内外のGS1バーコード表示の推進とその利用を紹介するとともに、整形用医療材料で進むRFID利用も含めて、標準化されたデータ活用の意義と課題について発表する。