一般社団法人 日本医療情報学会

[2-B-1-04] 当院におけるGS1コード・RFIDの活用と課題

*山下 暁士1、山下 佳子1、大山 慎太郎1、友澤 洋史2、阿磨 由美子3、白鳥 義宗1 (1. 東海国立大学機構 医療健康データ統合研究教育拠点/名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター、2. サトーヘルスケア株式会社、3. 帝人株式会社)

【目的】当院では院内での薬剤・医療材料のトレーサビリティを確保するため、GS1コードを中心にシステムを構築し、運用してきた。その概要と課題、課題を解決するための取り組みにつき報告する。
【システム概要】電子カルテおよび各部門システムで薬剤と医療材料の払出・受取を行う時、薬剤利用時、処置・手術などの実施を登録する時などに薬剤・医療材料のGS1コードを読み取り、記録し、物流システムに連携するための仕組みを構築した。これを全システムで不整合なく行うために、薬剤と医療材料のマスター管理を一元的に行うための仕組みも構築した。これにより、薬剤と医療材料の流れを物流システムで一元的に把握できる仕組みが確立した。
【結果】システム稼働時に作業負荷や有効性の検討を行ったところ、作業負荷はシステム稼働前の2-3倍に跳ね上がっていた。そのため、トレーサビリティ確保業務を一部スキップするスタッフが出現するという問題が発生した。一方、スキップしなければトレーサビリティが確保できていることも確認した。そこで作業負荷軽減のため、radiofrequency identifier(RFID)を用いてGS1コードの登録を容易にすることを計画し、その実証実験を行った。その結果は良好であり、RFIDは課題解決のための手段として有用であることがわかった。しかし、実用化に向けては、RFタグの貼付率の問題やRFリーダーの読取率の問題など、解決すべき課題も多いことがわかった。
【結論】当院におけるGS1コードの利活用とその課題について概説した。GS1コードをキーにデータを集積することでトレーサビリティ確保が実現できた。運用の負荷が最大の問題であり、RFIDを用いて解決するための方法を現在模索しているところである。また、GS1コードを医療機関で扱うにはマスター整備の問題など課題が多く、今後も対応が必要である。