一般社団法人 日本医療情報学会

[2-B-1-05] 医療機関における医療安全および業務効率化に資する医薬品・医療機器のトレーサビリティ確立の方策

*美代 賢吾1、稲場 彩紀2、植村 康一2、大原 信3、折井 孝男4、笠松 眞吾5、近藤 克幸6、髙橋 弘充7、武田 理宏8、藤田 英雄9、渡邉 勝10 (1. 国立国際医療研究センター、2. 流通システム開発センター、3. 筑波大学、4. 東日本電信電話株式会社関東病院、5. 福井大学、6. 秋田大学、7. 東京医科歯科大学、8. 大阪大学、9. 自治医科大学附属さいたま医療センター、10. 宮城県立こども病院)

医療現場では、多種多様な医薬品、医療機器が用いられ、それらを間違いなく適切に使用することが日々求められている。従来研究において、有効期限切れや、使用した医療機器の把握において、UDIの院内での活用の優れた効果が確認されている。一方、課題として、その導入コストが挙げられており、これは、現在の電子カルテシステムの機能では、十分にUDIを活用できないことを示唆している。令和元年11月に改正された薬機法により、製造業者によるバーコードの貼付が義務化され、すでに医療機関での利活用ための環境は整いつつある。そこで著者らは令和2年度厚生労働行政推進調査事業として、現状の医療機関内での業務フローの中で、バーコードやRF-IDを活用する状況を調査し、その利活用の可能性について検討をおこなった。さらに、各社の電子カルテの現状の機能について具体的な調査をおこない、電子カルテがパッケージとして備えるべき標準機能、および標準的な運用についての議論を進めている。これらの議論を踏まえバーコード、RF-IDの利活用・導入の手順書作成を目指しているが、その作成に当たっては、医療機関だけでなく、医療機器製造業者、卸業者、SPD、電子カルテベンダーおよびそれぞれの関連団体とも協議を行い、国際的な動向を踏まえたうえで、より現実的に機能するものを目指している。現在、メーカーや卸業者、SPD業者が自らの業務改善、効率化のために、バーコード、RF-IDを活用することも増えてきており、これと連携する形でいずれのステークホルダーも負担感なく、医療資材のトレーサビリティを確立する方法の検討を進めている。発表では、これまでの検討の経緯と、手順書の方針について説明し、よりよい方向への議論を進めたい。