一般社団法人 日本医療情報学会

[2-B-2] COVID-19パンデミックに対し、広域情報システム、単独医療機関の情報システムはいかに貢献したか

岡垣 篤彦1、草深 裕光2、山本 康仁3、上村 修二4、*橋本 悟5 (1. 国立病院機構 大阪医療センター 医療情報部、2. 松波総合病院 内科、3. 東京都立広尾病院 小児科、4. 札幌医科大学 救急医学講座、5. 京都府立医科大学 集中治療部)

はじめに:COVID-19の感染が続く中、第4波では入院待ちの患者が死亡するなど、医療崩壊といえる状況が出現した。感染対策として様々な医療情報システムが作成されたが、広域システムでは、元々薄い集中治療資源を情報収集による最適配分でどこまで補えたか、今後医療資源をどこまで充実させるべきか、さらに、重症患者を多数引き受けた公立病院、一般病院をCOVID専門病院に転用した病院、大規模私立病院としての取り組みなどの検討を行い、今後の医療政策や各病院の感染対策への提言を行なう。方法:昨年の本学会のワークショップで取り上げた医療機関のその後の取り組みを定点観測する目的で、広域システムとして集中治療学会が立ち上げたECMOnetおよび横断的ICU情報探索システム、札幌医科大学の札幌医療圏COVID受け入れ数共有システム、単独医療機関として、重症者を受け入れた大阪医療センター、第3波の途中からCOVID-19患者の治療に特化した都立広尾病院、多数のCOVID-19患者の診療を担当した私立松波総合病院の院内システムを取り上げる。結果:第4波では広域システムでは登録が遅れがちとなり、さらに重症患者受け入れ能力が限界となり、重症度ごとの割当て病院に搬送する仕組みに支障が発生したが、破綻するまでには至らず、おおむね機能を果たした。社会的には重症者数や受け入れ可能病床数等の信憑性の高いデータを発信している。一方、単独医療機関のシステムも病床の頻繁な変更に対応しつつ、院内感染を防止し、感染の全貌を見える化し、発熱外来の感染対策等を行なうなど重要な役割を果たした。考察:広域情報システムでは機能と情報量の拡張が行われ、大きな役割を果たした。個別の医療機関においては、重症感染症病床を臨時に増床するためは物的、人的資源の再配置が短期間で実現する必要が有り、病院情報システムの能力も大きく貢献したと考えられた。