一般社団法人 日本医療情報学会

[2-C-1] 生活習慣病PHRアプリや治療アプリへの期待と相互運用性等の課題

*中島 直樹1,2、谷澤 幸生3,4 (1. 九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター、2. 日本医療情報学会、3. 山口大学 大学院医学系研究科 病態制御内科学、4. 日本糖尿病学会)

Personal Health Record, Digital Health, Digital Therapeutics, HL7 FHIR, Diabetes Mellitus

厚労省はマイナポータルからの特定健診情報・薬剤情報のPHRなどへのデータ利用を推奨し、日本医療情報学会NeXEHRS研究会でHL7 FHIR日本国内実装検討WGとして実装ガイド(JP core)を策定、同FHIR研究会も精力的に活動を進め、相互運用性を持つPHRのための基盤整備が進んできた。 一方、日本糖尿病学会と日本医療情報学会は2007年度以降14年にわたり相互の年次学術集会において、共同企画を開催した。また、2011年8月には両学会の常置合同委員会として「糖尿病医療の情報化に関する合同委員会」を設置し、2015年には生活習慣病ミニマム項目セット集、2018年にはPHR推奨設定などを策定し、公開し、いわゆるユースケース、および項目セットの標準化を進めてきた。 治療アプリはスマートフォンを起点として、個人の健康医療情報や、生活情報、IoT情報などを取り込み、リコメンデーションを提案するアプリで、言い換えるとPHR機能の一つである。米国では糖尿病領域などを中心に10年程度の歴史があり、すでに評価もされている。本邦でも2020年12月には禁煙アプリが保険収載され、いよいよ「アプリ処方」の時代が始まった。生活習慣病にとっては、食事療法、運動療法、薬剤療法に続く、第4の治療法としての「情報療法」の期待が高まる。 その一方で、PHRアプリ開発企業に、HL7 FHIRやそのユースケースなどについて、必ずしも相互運用性等の課題への理解が進んでおらず、将来のデータポータビリティ、データ保存性、あるいは医療施設からのデータ閲覧・利用などにも危惧がある。 本ワークショップでは、前記の合同委員会から、日本高血圧学会、日本動脈硬化学会、日本腎臓学会、日本臨床検査医学会、日本肥満学会、日本糖尿病協会に拡大した生活習慣病関連8団体拡大会議の啓発活動を紹介するとともに、日本糖尿病学会委員からの期待と危惧、日本医療情報学会委員からの課題の整理、およびPHR開発企業による今後の展望や課題などについて講演を行い、議論を深めたい。