Japan Association for Medical Informatics

[2-C-1-04] デジタルセラピューティクス(DTx)開発の現状と課題

*Takehiko Nomura1, Yukako Nishimaki1, Tomohiko Katayama1 (1. Sumitomo Dainippon Pharma)

DTx(デジタルセラピューティクス)は、汎用スマートフォン等に組み込まれたアプリケーションで、治療介入を目的として用いる医療機器プログラムである。DTxは、新たな治療選択肢として期待されており、臨床試験を実施し、安全性と臨床効果を示した上で厚労省から薬事承認を経て販売することができる。アメリカでは2010年を皮切りに様々なDTxが登場しているが、日本では10年遅れの2020年に承認された「ニコチン依存症治療アプリ」が唯一のDTxである。一方、非医療分野では、健康増進や健康寿命の延伸に効果を発揮できるか不明なままで、健康アプリ、ヘルスケアアプリと称して販売でき、すでに多種多様なアプリが有償、無償で市場に供されている。 DTxとヘルスケアアプリは、“スマホアプリ”として一括りにされることが多いが、実際には管轄省庁や規制だけでなく、開発プロセスやコストにも大きな違いがあり、ビジネスモデルやマネタイズが異なる。 その一方で、DTxもヘルスケアアプリもPHRのプラットフォームとしての利用も期待されている。未病・予防から診断、医療、予後・介護に至る個人のヘルスレコードが得られるだけでなく、個別化医療、集団把握などヘルスケア全体への貢献も期待されている。 2020年11月に厚生労働省から「プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略(DASH for SaMD:DX(Digital Transformation)Action Strategies in Healthcare for SaMD(Software as a Medical Device))」が公表され、プログラム医療機器の実用化の促進が図られているが、日本におけるDTx開発はまだ端緒についたばかりである。 最大の課題は、技術開発スピードに適した枠組み(開発方法、臨床評価基準、承認要件、診療報酬など)がまだまだ不透明なことである。 本講演では、DTxとヘルスケアアプリの違いと、DTx開発の現状と課題について紹介する。