Japan Association for Medical Informatics

[2-C-2-01] What records should the pharmacist keep?

*Fumito Tsuchiya1 (1. Reserch Organization for Medication Safety Use)

薬剤師法は「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」と定めている。つまり薬剤師は調剤(対人業務)と医薬品の供給(対物業務)の両方を責務としており、このことが対人業務中心の他の医療専門職と異なる点である。
 しかしながら、チーム医療の重要性が認識され、薬剤師も対物中心の業務から対人中心の業務へと業務転換が強く求められており、薬剤師法や薬機法も改正されたところである。
 調剤に関連した情報としては、処方情報、調剤情報、服薬情報が存在する。医療機関には処方箋交付時の確定処方情報が保管されているが、薬剤師には疑義照会が義務づけられていることから、薬剤師が調剤に入る直前の最終確定処方情報も保管される必要がある。
 調剤情報は単に最終確定処方情報と一致しているのみならず、患者に交付された医薬品の品質に関する情報、即ちロット及び期限に関する情報が必要である。わが国においてはこれらの品質保証の情報を記録することは特定生物由来製品を除いてなされていないが、この記録は調剤をした全ての医薬品において記録すべき事項であるべきである。
 服薬情報は入院中は看護記録として存在していると思われるが、退院後や外来患者の場合には基本的には記録は患者に依存せざるを得ない。服薬情報を記録するシステムは電子版お薬手帳等がその機能を有しているが、電子版お薬手帳の普及も低く、また電子版お薬手帳を使用している患者であっても、服薬記録機能を利用している患者は極めて少数である。全ての医薬品の服薬記録とはいわないが、服薬記録を求める医薬品を定める等の努力は必要ではないかと考える。
 本ワークショップでは薬剤師の対人業務における記録を含め、これからの医薬品に関する履歴の在り方について意見交換が行われることを期待する。