Japan Association for Medical Informatics

[2-D-1-05] わが国の公的統計へのICD-11適用の影響に関する一考察 -ICD-11準拠の死因簡単分類構築の試行と影響分析ー

*Toshio Ogawa1, Masami Takizawa2, Takeshi Imai3, Yukie Takahashi2, Kohei Sakamoto2, Masayo Komatsu4, Masahiko Mukaino5, Tomoaki Imamura6 (1. 摂南大学, 2. 国際医療福祉大学, 3. 東京大学, 4. 大阪大学, 5. 藤田医科大学, 6. 奈良県立医科大学)

ICD-10, ICD-11, vital statistics, the condensed list of causes of death for Japan

【背景と目的】わが国の公的統計に用いられている現行の死因分類や疾病分類はICD-10準拠で構築されているが、わが国へのICD-11適用に伴い、これらの分類はICD-11準拠に変更する必要があると考えられる。本研究は、死因統計に用いられている死因簡単分類について、現行のICD-10準拠からICD-11準拠への改訂を試行し、新たな分類が死因統計に与える影響について考察することを目的として実施する。
【方法】WHOにより公開されているICD-10・ICD-11のマッピングテーブルを用いて、ICD-11準拠の新たな死因簡単分類の構築を試行した。構築した分類を用いて、集計項目のうち新旧分類で変更となる項目を明らかにしたほか、平成29年度の人口動態調査の結果表を用いて、死因簡単分類の集計値の変化について推計を実施した。
【結果】本研究で構築を試行した新たな死因簡単分類はICD-11の構造に基づいているため、現行分類とは異なる部分があることが明らかになった。現行と新たな死因簡単分類を比較すると、ICD-10から11への構造変更に伴い、集計項目の数が増加すると推定された。また、人口動態調査の集計値についても、新旧分類で異なる項目があることが推計された。
【考察】本研究により、ICD-11準拠の新たな分類を用いることで、ICD-10からICD-11への構造変更に伴い死因簡単分類の項目が変化し、それにより死因統計の集計値が変動することで、わが国の公的統計に影響があることが示唆された。今後、同様の検討を罹患統計に用いられている傷病分類についても実施し、わが国へのICD-11適用が死因統計や罹患統計など公的統計に与える影響について精査する必要がある。また、公的統計の継続性を維持しつつ、新たな疾病分類のわが国への円滑な導入を図る必要がある。