[2-E-1-01] がん患者の臨床アウトカムにおける電子カルテデータベースを用いた評価方法の後ろ向き研究
Electronic Medical Records, Cancer, Outcome, Unstructured Data
【背景】電子カルテ(EMR)データの研究利用への期待は大きいが、臨床アウトカムに関わる多くのデータは非構造化データであるため、解析が困難という課題がある。本研究ではEMRを用いて、がん患者を対象に薬物治療効果などのアウトカムを客観的に評価する手法を検討した。
【方法】宮崎大学医学部附属病院に2018年4月から2021年3月に通院または入院した、肺がん患者15例(グループA)及び肺がん及び乳がん患者100例(グループB)を対象として、後ろ向きにEMRデータを収集した。評価者の医師2名により、グループAの医師の経過記録、腫瘍に対する放射線レポート及び病理検査レポートの記載に基づいて、薬物治療の効果判定を行った。グループBに対しては、グループAにおける治療効果の評価手法を当てはめた。また、遺伝子検査結果がEMRから収集可能か検討した。
【結果】グループAの15例28治療ラインにおける治療効果(奏効、安定、進行)の評価者間の最良効果一致率は0.59であった。治療効果判定に用いられたデータは経過記録が61%、放射線レポート29%であった。判定の基となった用語(キーワード)は、奏効では「縮小」、「効果」、「著変」(否定表現)で、「縮小」は感度、特異度ともに高かった。これらのキーワードはグループBでも確認できた。また、グループBにおいて、遺伝子検査結果は延べ296件中77%で結果を抽出できた。
【考察】EMRの非構造化データからがん患者の治療効果判定に有用な情報を得られることが分かった。今後、複数施設の症例への適応及びキーワード間の関係について検討が必要である。
【方法】宮崎大学医学部附属病院に2018年4月から2021年3月に通院または入院した、肺がん患者15例(グループA)及び肺がん及び乳がん患者100例(グループB)を対象として、後ろ向きにEMRデータを収集した。評価者の医師2名により、グループAの医師の経過記録、腫瘍に対する放射線レポート及び病理検査レポートの記載に基づいて、薬物治療の効果判定を行った。グループBに対しては、グループAにおける治療効果の評価手法を当てはめた。また、遺伝子検査結果がEMRから収集可能か検討した。
【結果】グループAの15例28治療ラインにおける治療効果(奏効、安定、進行)の評価者間の最良効果一致率は0.59であった。治療効果判定に用いられたデータは経過記録が61%、放射線レポート29%であった。判定の基となった用語(キーワード)は、奏効では「縮小」、「効果」、「著変」(否定表現)で、「縮小」は感度、特異度ともに高かった。これらのキーワードはグループBでも確認できた。また、グループBにおいて、遺伝子検査結果は延べ296件中77%で結果を抽出できた。
【考察】EMRの非構造化データからがん患者の治療効果判定に有用な情報を得られることが分かった。今後、複数施設の症例への適応及びキーワード間の関係について検討が必要である。