Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-02] スマートフォンのPHRアプリを利用した患者への医療情報提供の取り組み

*Yoshihiro Sakakibara1, Kazuhiro Togo2 (1. 岡山旭東病院, 2. 株式会社NOBORI)

PHR, smartphone, application

【はじめに】当院は病床数214床、約500人の職員が働く脳神経運動器の専門病院である。2019年9月よりスマートフォンのPHRアプリを利用した患者への医療情報提供の取り組みを行っており、利用状況について報告する。

【目的】電子カルテやPACSといった医療情報システム上に保存されているデータは、本来患者自身のものであるという観点から、患者のスマートフォンでいつでも自身の医療記録(通院歴、次回予約、薬、検査結果、画像)を閲覧可能なPHRアプリの提供を開始した。

【方法】電子カルテのレプリカサーバのデータベース上に、PHR公開用のビューを設定。患者はアプリ上で基本情報を登録した上で、初回のみ受付窓口にて本人確認と同意確認の手続きを実施。以降は公開対象のデータが発生すると自動でクラウドサーバへ送信。患者はPHRアプリを利用してクラウドサーバ上の自身の医療情報を閲覧できる仕組みとした。

【結果】2021年4月末時点の登録患者は671人。PHRアプリの年代別利用頻度については、50代が36%、40代が20%、60代が19%。登録者については、50代が26%、40代が19%、60代が19%だった。データの種類別の閲覧頻度では、画像が36%、検査結果が24%、通院歴19%、次回予約13%、薬8%であった。また、患者向けアンケートからMRIなどの画像を見られることに対して好意的な意見が多く聞かれた。

【結論】50代の患者のアプリ登録が最も多く、利用頻度についてはさらに高い割合となっていることから、他の年代に比べて自身の健康管理への関心が高く、継続的にアプリを閲覧していると考えられる。今回の調査で画像に対するニーズが高いことが分かったが、画像についてはお薬手帳や検査結果報告書のような別媒体での情報提供が少ない現状が影響している可能性も考えられる。今後も患者が望むPHRの形について追求していきたい。