Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-04] ペースメーカ診療を対象とした 電子カルテにおける診療課題データの 医療情報銀行への連携

*Shozo Konishi1,2, Toshihiro Takeda1, Shirou Manabe1, Katsuki Okada3,1, Shoya Wada3,1, Yasushi Matsumura4,1 (1. 大阪大学大学院医学系研究科 医療情報学, 2. 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学, 3. 大阪大学大学院医学系研究科 変革的医療情報システム開発学寄附講座, 4. 国立病院機構大阪医療センター)

Personal Health Record, Electronic Medical Record, pacemaker patients

今日の医療では1人の患者が複数の医療機関にかかることが少なくなく、また、しばしば経過とともに通院する医療機関が変更となることもある。そのような中、各医療機関が個別に管理するカルテとは異なり、生涯にわたって患者の手元に残る記録となるよう、我々は民間Personal Health Record プラットフォームのひとつである医療情報銀行の構築を進めてきた。これまでに、自発的に医療情報銀行の口座開設を行った231名の妊婦に対し、妊婦健診データや胎児超音波画像を電子カルテから医療情報銀行に連携し、本人がスマートフォンで閲覧することを可能にしてきた。
 一方、ペースメーカは代表的な高度医療機器であり、入院にて植込み手術を行ったのち、デバイス外来にて継続的に診療が行われる。また、近年は遠隔モニタリングシステムも導入され、患者宅に設置した専用機器から定期的にデバイスの状態が送信される。当院では、ダイナミックテンプレートを使用して、カルテ記載と同時にその内容を構造化データとして保有するしくみを実装してきたが、ペースメーカ診療においては、植込み手術時、デバイス外来受診時、遠隔モニタリングデータの確認時にそれぞれ医療者が専用テンプレートを用いてカルテ記載を行っている。この度我々は、テンプレート上に専用チェックボックスを設け、これをトリガーとして、テンプレート記載内容を患者向けの言葉で作成した患者用テンプレートに自動転記し、HL7 FHIRのQuestionnaire Responseを用いて医療情報銀行に出力するしくみを実装した。また、デバイス外来時のテンプレートには医師から患者に向けたコメント欄を設け、患者が外来診療を振り返りやすいように留意した。このように、診療課題ごとに関連データをまとめて医療情報銀行に連携することにより、患者が自身の診療結果をよりよく理解し、保持することが可能になると期待される。