Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-06] EHRデータの救急用モバイル提示のための緊急アクセス権付与手法

*Naoto Kume1, Junzo Sato2, Harutoshi Yazaki2 (1. 京都大学大学院医学研究科 EHR共同研究講座, 2. 新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社)

Electronic Health Record, Mobile Health, Access Right

医療・健康情報分野において,医療の質の向上,患者サービスの向上,健康管理支援などを目指して,Electronic Health Record (EHR),Personal Health Record (PHR)に診療記録を保管し、医療施設間および患者との情報共有に用いるプラットフォームが実装されつつある.ここで,日常生活において救急を要する際に,救急隊員をはじめとする医療従事者が患者の基本情報や直近の処方,検査結果等にアクセスできれば,治療の初動での的確な処置につながることは論をまたない.しかし,健康上の緊急事態を生じた際に,本人の意識が酩酊している場合等,かならずしも本人がEHR・PHR上のデータをもとに自身の病状を正確に伝えられる状態にあるとは限らない.その際に,本人の情報に対するアクセス権を適切に設定された救助者や医療従事者などが医療情報にアクセスできる必要がある. 本研究はモバイルアプリケーションにより,患者・救助者を仲介する緊急時通報対応システムを開発することを目的とする.地域医療連携システムの事例として,筆者らは日本国内において100以上の病院を接続するEHRプラットフォーム(通称,千年カルテ)を構築してきた.そこで,EHRが有するAPIからのデータ取得を前提として,緊急時通報対応システムを構築し,事前に登録された代理人を通じて救助者への情報アクセス権を付与する仕組みを構築する. 具体的には,患者用モバイルアプリ,救助者用モバイルアプリ,緊急時通報受信サーバの3つを構築し,緊急発呼から救助者が当該患者の情報を閲覧できるようになるまでの承認プロセスが現実的な時間内の応答で完結するか検証した.代理人がアクセス権申請の連絡を受けてすぐに操作する前提で,SMSを通じた連携により,数分以内に救助者が患者情報にアクセスできることを確認した.