一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-2-01] 日々の拘束リスク評価の補間の試み~電子カルテのテンプレートを用いたリスク評価における課題~

*松本 聡子1,2、満田 里香3、佐藤 美奈3、大滝 友香里1、木村 沙織3、池上 秀和4、国松 加奈子4、藤村 智恵美3、野上 さとみ3、秋山 剛1 (1. NTT東日本関東病院 品質保証室, 2. 帝京大学 医学部 内科学講座, 3. NTT東日本関東病院 看護部, 4. NTT東日本関東病院 情報システム)

Electronic medical record, Medical information, Risk assessment, Physical restraint, Data quality

【背景】
電子カルテから抽出したデータを臨床的に意義のある形で二次利用するにあたっては、様々な工夫が必要である。例えば、身体拘束や転倒転落等に関する日々のリスクと事象の関係について検討する場合には、日々のリスク評価の把握が必要である。リスク評価を毎日実施することは困難であるため、多くの場合、一定のルール(例:入院時、転棟時、症状の変化時を含め最低週1回)に則り行われている。そうした評価結果を電子カルテから抽出した場合、評価日のデータしか存在しない。従って、「評価日以外の日々のリスク評価」の補間のために、データの処理が必要となる。
【目的】
NTT東日本関東病院(以下、当院)において、「評価日以外の全入院期間における日々のリスク評価」を効率的に補間する方法について検討した結果を報告する。
【方法】
1)当院で行われている拘束リスク評価の情報入力方法について述べる。
2)当院における、日々のリスク評価の補間に関する課題を整理する。
3)上記2の課題への対処法(データ処理等)について検討する。
【結果】
当院では、テンプレートにより拘束リスク評価の情報入力を構造化・標準化している。テンプレートは後日過去のカルテ(SOAP記事)に追記される場合がある。従って、「テンプレート記載日」ではなく「テンプレートが掲載されたカルテの初回確定登録日」を「評価日」として扱う必要があった。また、評価日以外のリスク評価に関しては、電子カルテから抽出した一入院患者一日一レコードのデータにテンプレートのデータ(リスク評価の結果)を突合した上で、追加(excel関数により前回評価日のデータを次回評価日まで補間)する処理が必要であった。
【考察・結語】
当院で行われた方法を応用することにより、「日々の各種リスク評価」の把握が可能となる。日々のリスクと事象の関係についての検討は、医療における品質保証と安全管理に寄与すると思われる。