Japan Association for Medical Informatics

[2-E-2-04] 電子署名による同意書の完全ペーパーレス化の取り組み

*Minami Ootaka1, Sakamoto Ayako2, Yoshinaka Masashi1 (1. NTT東日本 関東病院 情報システム担当, 2. NTT東日本 関東病院 品質保証室)

Paperless, Electronic signature, Work style reform, Informed Consent form, Standardization

【目的】 当院は2021年1月にペーパーレス化の一環として同意書の完全電子原本化を実現した。本研究では電子原本化にあたり、その手法と導入までの取組について述べる。 【方法】 液晶サインタブレットと電子カルテとを連携し、付属のペンで記述した筆跡が同意書の署名欄に反映される。その後、電子カルテへ登録され、電子原本として扱うシステム仕様とした。当院の紙帳票約1,800件のうち約1,000件の同意書を品質保証室と協働し、様式内容の標準化を図り、電子署名対応版の書式とした。また、運用ガイドラインを策定・周知した。操作手順はe-Learning形式とした。導入一か月後にIC業務を行う職員を対象に質問紙調査を行った。 【結果】 診療へ影響の及ぶトラブルはなくスムーズに稼働できた。質問紙調査の結果では、電子原本化によるペーパーレスや電子共有による業務効率向上に対する高い評価が得られた。一方でノートPCでの扱いにくさと運用の改善が挙げられた。 【考察】 ・スムーズに稼働できた理由として①導入前に病院経営幹部に承認を得ていたことが、現場の理解・協力の後押しとなった。②臨床スタッフと検討した事で現場目線の運用ガイドラインを策定できた事と考える。 ・病棟でのノートPCの利用機会が想定より多い。しかし今後、人員を増員し、入院前のIC運用が拡大されることから病棟での利用機会は減少することが予想される。 ・将来的にはタブレットの活用を推進する。医師による追記や描画を可能とし、緊急利用時に簡便に持ち出せる等、さらなる利便性の向上を目指したい。 【結語】 同意書の電子原本化は有用であり、当院のペーパーレス化の意識が向上したと評価できる。今回構築したシステムに限らないが、新たな手法の展開にはシステム部門だけでは困難であり、多職種との連携が必須である。病院全体で一体となって取り組むことが導入、稼働をスムーズにするポイントと考える。