[2-E-2-05] 顔認証技術を用いた小児科病棟入室管理システムの有用性の評価
Face Recognition, Fever Detection, Pediatric Hospitalization, Nursing Informatics, COVID-19
現在多くの小児科病棟では、感染症の持ち込みや児の連れ去りの防止のため、病棟を施錠管理し、病棟職員の入館時にはICカードを用いた開錠、付き添い家族の入館時には看護師または事務補佐員がカメラ付きインターホンで家族の顔と体調を確認した上での開錠を行っている。付き添い家族への開錠対応は病棟職員の負担となるだけでなく、家族らにとっても入館の度の職員を呼び出しは心理的負担になっていると考えられる。これらの課題に対し、大阪大学医学部附属病院では顔認証システムを小児医療センター正面入口と職員入口の2か所に設置した。本システムは、個人識別用のカメラとサーモカメラの2つのカメラにより構成され、事前に顔写真を登録している者でかつ体温が37.5℃未満の場合のみ開錠される。家族の登録情報は電子カルテと連携しており、患児退院後の入館はできなくなる。本研究では病棟職員の利用開始に際して、病棟職員自身の使用感や、付き添い家族が利用する場合どういった方を対象とするべきかについてアンケート調査を実施した。結果、医師16名、看護師39名、看護助手4名、保育士2人、事務補佐員6名の計67名より回答が得られた。本システムの印象について「良い」と回答したのは68.7%であり、システム導入が病棟職員の業務改善につながると「思う」としたのは73.2%であった。付き添い家族が顔認証システムを用いて入館することについて、「安全性、医療環境に問題はない」としたのは58.2%であり、付き添いの頻度別に顔認証登録の可否を尋ねると「ほぼ毎日付き添っている親族」は回答者全員、「週に4日以上付き添っている親族」は37.3%、「週に2、3日程度付き添っている親族」は16.4%が可としていた。以上、顔認証システムは病棟職員の負担軽減につながる可能性が示唆された。今後付き添い家族へ利用範囲を拡大する際には、利用許可の基準を議論する必要がある。