Japan Association for Medical Informatics

[2-E-2-07] 海外の薬物相互作用情報を用いたグラフデータベースの構築と日本の医薬品添付文書情報との整合性の検証

*Yukinobu Kawakami1,2, Noriaki Hidaka2, Mamoru Tanaka2, Eizen Kimura1 (1. 愛媛大学 大学院医学系研究科 医療情報学, 2. 愛媛大学医学部附属病院 薬剤部)

Drug Information, Drug-Drug Interaction, Graph database

【背景と目的】薬物相互作用は予測可能な薬物関連有害事象の重要な原因の一つであるが、薬物相互作用に関する完全な情報源は未だ存在しない。日本においても、医薬品の添付文書情報を基にしたシステムの活用が一般的であるが、それだけでは重篤な薬物相互作用を看過する可能性が報告されている。また、日本の医薬品情報システムの多くが有料であり、すべての医療機関等で利用できるとは限らない。そこで今回、我々は海外において無料で公開されている薬物相互作用データベースを用い、相互作用のネットワークデータベースを構築し、日本の添付文書情報との整合性を検証したので報告する。
【方法】海外における14の薬物相互作用情報源を統合したデータベースをNeo4jグラフネットワークデータベース上に構築し、薬物相互作用のグラフ処理を可能とした。また、構築したシステムを用い、海外の薬物相互作用情報と日本の添付文書に記載されている薬物相互作用との整合性を検証した。整合性の検証は、愛媛大学医学部附属病院で処方歴が多いハイリスク薬を中心に実施した。
【結果】海外の薬物相互作用情報と日本の添付文書情報の整合性を検証した結果、情報の相違が認められた。内容として、海外の薬物相互作用情報に、日本の添付文書に記載されていない薬物相互作用が確認できた。また、日本の添付文書では「併用注意」に該当する薬物相互作用の組み合せが、海外において「併用禁忌」に該当する場合などが認められた。
【考察】今回、海外において無料で公開されているデータベースを用い、相互作用のネットワークデータベースを構築した。各相互作用に関する情報源に相違点が認められたことから、それらの情報を統合して処理することで、より有用な薬物相互作用情報の検出が可能になると考えられる。