[2-E-2-08] 日本の医薬品のRxNormマッピングの試み
RxNorm, OHDSI, Knowledge Graph
【背景】MEDISの医薬品HOTコードマスターによって医薬品関連の各コードが統合して管理されているが、医療ドメインのナレッジグラフ(KG)を構成する要素としての利用実績は殆ど見られない。HOTコードでコーディングされた処方履歴等をKGに接続するにはKGを構成している要素概念との関係性を定義する必要がある。【方法】マッピングの対費用効果が高いと思われる統制用語集としてOHDSIや薬物相互作用のデータベースで利用されているRxNormを今回の候補とした。薬価基準収載医薬品の名称をNICTのTexTraを用いて英語に翻訳し、さらにOHDSIの概念マッピングツールUSAGIを利用しRxNorm/RxNorm Extensionへのマッピングを実施した。RxNorm ExtensionはOHDSIが米国発祥のRxNormを拡張し各国の医薬品の事情に対応したものである。【結果】マッピング対象は17642個であった。マッピング結果から100個サンプル抽出し、目視で検証、修正を実施した。全ての項目についてRxNormの概念へのマッピングが出来ており、Brand(固有製品レベル)43%、Clinical(一般名レベル)47%、Ingredient(成分レベル)10%であった。概念クラスはRxNormが42%、RxNorm Extensionが58%であった。【考察】機械的アプローチと手作業において成分レベルにおいて高精度でのマッピングが可能であることが示唆された。医薬品に関するナレッジグラフの用途を考慮するとマッピング精度は高いものにする必要がある。不特定多数によるマッピングの確認、Ingredientレベルのマッピングに留まりRxNormに剤形、用量の関係で収載されていない医薬品についてOHDSIのRxNorm Extensionを利用した拡張の検討が今後の課題である。