[2-F-1-05] 診療AI開発基盤となる地域医療データの収集システムの構築とAI診療の可能性の検証
Regional healthcare network, Data accumulation, Artificial Intelligence, Glaucoma diagnosis, MMWIN
【背景】 緑内障は我が国において高い有病率であり、中途失明原因一位の疾患である。末期に至るまで自覚しにくい視野障害を来し、発見の遅れから失明にいたるケースが多い。高い有病率で患者が多いにもかかわらず、緑内障専門機関は都心部に集中しているため、遠隔地に住む患者は専門医療を受けることが難しい状況となっている。 【目的】 宮城県では震災を契機にクラウド上に患者医療情報のバックアップを置き、情報共有を目的としたシステム、MMWIN(Miyagi Medical and Welfare Information Network)が展開されている。我々はMMWIN上のサーバーを拡張し、一般診療情報に加え眼科診療データを共有できる環境を構築した。今回、MMWINを利用する施設が緑内障診療AI(artificial intelligence)のサポートを享受できるシステム開発を目指す。研究同意が得られた患者を対象にMMWIN上の眼科情報を自動的に収集して匿名化データバンクを構築し、AI開発のための環境を整備する。また、緑内障AI診療の可能性について開発済みのAIプログラムを用いて検証する。 【方法】 以下3項目を行う。1)MMWINで共有されているデータから研究に同意した患者のデータのみを抽出する、2)抽出されたデータを自動的に匿名加工し、AIを開発できる基盤を構築する、3)MMWINを利用したAI診療ができる環境を構築し、すでに開発済み緑内障診断AIを用いて検証する。 【結果】 研究参加施設から研究同意取得済み患者の眼科診療情報を自動的に抽出し、匿名化するデータバンクを構築できた。また、開発済みAIプログラムを用いた検証の結果、MMWINを用いたAI診療は実行可能と考えられた。 【考察】 本システムのような取り組みを今後も展開していくことで、医療を取り巻く社会的課題の解決につながると思われる。