Japan Association for Medical Informatics

[2-F-2-03] 臨中ネットにおける研究計画書雛形作成の取組み

*Takahiro Imaizumi1 (1. Nagoya University Hospital)

Ethical Guidelines, Real World Data, Template

臨中ネットでは、各施設において蓄積された既存の診療情報の中から、研究者からの提案に応じて必要なデータを出力し、解析実施機関に集めて研究を実施するための体制整備を行っている。2021年3月に人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(以下、医学系指針)が改訂され、一研究一審査の原則が明記された。これにより、研究参加機関における倫理申請等にかかる手続きが軽減されることが期待される一方で、一括審査を経た計画書であっても倫理指針に定める研究機関の責務は各研究機関に残るため、多くの場合、各医療機関の長は自施設の倫理委員会の意見を聞いて許可を出すことが想定された。そこで、この倫理審査の承認から研究実施のプロセスがスムーズになるように、あらかじめ研究計画書のひな形を作成し、それを各施設の倫理委員会に諮ることにした。ひな形の作成に当たっては、臨中ネット参加機関の研究倫理を担当するセクションを中心に人材を集め、プロジェクトチームを組織した。ひな形は既存の診療情報を用いた観察研究に特化した内容とし、医学系指針における必須記載事項をもれなく記載すると同時に、記入例とともに解説を余白に記載することで研究者にわかりやすく、教育的なものになるよう配慮した。作成した雛形を各施設の倫理委員会の代表者や委員会に諮り、①施設内で使用可能であるかどうか、さらに②他機関で雛形に基づく研究計画書が一括審査された場合に審議結果を受けて研究を実施することが可能かどうかについて調査を行った。その結果、本雛形は多くの施設において使用可能であることが示された一方で、他機関からの審査内容の受け入れ方法にはバリエーションが存在することがわかった。本セッションでは、研究計画書の雛形作成に至る経緯や内容について概説し、さらに作成過程で得た学びを共有する。