[2-G-1-06] 重力モデルによる二次医療圏の受療動向分析:北海道における20年の比較
Patient Behavior, Secondary Medical Service Area, Gravity Model
【背景】 医療計画において二次医療圏は地理的条件等の自然的条件及び日常生活の需要の充足状況、交通事情等の社会的条件を考慮し、特殊または高度専門医療に属する部分を除く入院までの一般的医療について完結的に提供される地域として定義されている。北海道では平成12年に二次医療圏を対象に患者の受療動向に着目した研究は行われているが、近年の人口推移や道路交通網の発達など地域の社会的な背景が変化している可能性がある。そこで本研究では、北海道における社会的背景の変化による患者の受療動向の変化の状況を明らかにするため重力モデルを用いて分析を行った。 【方法】 北海道全域の二次医療圏 (21圏域)を分析の単位とした。患者の二次医療圏間の移動は、人口の集中を考慮して中心都市の役場間の距離とした。患者の移動数は北海道国民健康保険の令和1年11月から令和2年1月査定のレセプトデータを用いた。医療資源のデータは二次医療圏内の病院数とし、北海道保健統計年報を用いた。北海道全体・二次医療圏ごとに、医療資源の規模とその集積により吸引される影響を表す規模依存係数βと受診にかかる患者の移動における抵抗を表す距離依存係数γを算出し、平成12年との比較を行った。 【結果】 北海道全域の外来レセプトは3,456,634件、入院レセプトは563,381件であった。北海道全体での外来の距離依存係数βは1.49、距離係数γは3.18、入院の距離依存係数βは1.72、距離係数γは3.10であった。平成12年度の患者の受療動向を対象とした研究では、北海道全体での外来の距離依存係数βは1.41、距離係数γは2.88、入院の距離依存係数βは1.24、距離係数γは2.66であり、外来では距離係数、入院では距離依存と係数距離係数の両方が悪化傾向にあった。