Japan Association for Medical Informatics

[2-G-1-08] 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大におけるDPCデータを用いた受療状況分析

*Kikue Sato1, Daisuke Kobayashi2,1, Satoshi Yamashita1, Shintaro Ooyama1, Taiki Furukawa1, Yoshimune Shiratori1 (1. 名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター, 2. 神戸大学大学院医学研究科地域社会医学・健康科学講座)

DPC, Covid-19, Administrative claims

【背景】2019年11月に中国で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、わが国でも全国に拡大し、地域医療提供体制にも大きな影響を及ぼし、従来の医療機関への受診状況にも変動がみられた。ポストコロナに向けた地域医療の最適化と機能分化に向けて、患者受療の状況分析をする必要がある。その為には、変動があった疾患と医療資源の関係をより明確に示すことである。
【方法】本研究は、愛知県「高齢者疾患医療連携推進事業」のもと、データ提供の承諾を得られた愛知県内の医療機関を受療した2018年度~2020年度3か年DPCデータを対象に、MDC(主要診断群)ごとの入院患者数推移と受療施設へのアクセシビリティ、及び診療報酬請求額、コロナ禍の影響の大きかったMDCにおけるDPC6桁(疾病分類)の受療状況を経年比較した。
【結果】3か年比較対象となった100施設のうち、対前年比較で2020年度最も減少が大きかったのは、MDC15の小児疾患(-40.6%)、次いでMDC04呼吸器系疾患(-27.8%)、MDC03耳鼻咽喉系疾患(-24.0%)であった。
小児疾患では、熱性けいれん(150040)や川崎病(150070)、呼吸器系疾患では、インフルエンザ・ウイルス性肺炎(040070)や急性気管支炎等(040090)、耳鼻咽喉系疾患では、上気道炎(030270)や急性副鼻腔炎(030330)が特に影響度が大きな疾患であった。
また、MDCごと、疾患ごとどちらも受療施設までのアクセス平均時間や平均在院日数を経年比較すると、患者数の減少は大きいが患者構成割合の変化は大差がなかった。しかし、診療報酬請求額については2020年度の対前年と比べて全体平均-5.7%、小児疾患では-37.2%の減収がみられた。
【結論】新型コロナウイルス感染症拡大によって病院収入と病床稼働に大きく影響を及ぼしていた。